※このコーナーで紹介する作品は映画ダウンロードサイト「シネマナウ」で配信されました。
前回までお届けした「伝説の犯罪者たち」シリーズも無事完結。今回からは「迎え盆」シーズンにちなんで、かつてのシネ掘り作品でお世話になった懐かしい翻訳者の方をもう一度お迎えし、在りし日を偲……じゃなかった、その後ますますご活躍されている様子を紹介しちゃおうという特別企画「シネ掘り翻訳者 あの人は今!?」をお届けします。

もともとシネ掘りで紹介されたB級、C級、はたまたZ級映画の翻訳でデビューを飾った翻訳者たちが、いまやそのお宝的過去を封印したくなるほどマトモなお仕事でキャリアアップをはかっています。Part1の今回は、以前「シネ掘り作品ができるまで」のインタビューにお答えいただき、今年5月に開催された映画祭「シネマアフリカ2008」での上映作品の翻訳を手がけた2名の方に、翻訳エピソードを中心としたお話をうかがいました。
大岩剛さんPROFILE:
シネ掘り作品では『Cremains』の翻訳を担当、ほかに短編映画、ドキュメンタリーの翻訳も手がける。会社勤めのほか、休日はオーケストラ活動にもいそしむ。自他共に認めるホラー映画ファン。
「シネマアフリカ2008」上映作品のうち、字幕翻訳を手がけた作品について紹介してください。
「砂漠の歌姫」「ダカール リングがつなぐ青春」を担当しました。
「砂漠の歌姫」は“グリオ”という伝統的音楽家の家系に生まれた歌姫マルーマが、伝統を愛し、時に伝統にあらがい、自分と祖国モーリタニアの過去・現在・未来を語る、ステージ映像満載のドキュメンタリーです。
「ダカール」は、どこか日本の相撲にも似た国民的スポーツのレスリングを通じて見える、現代セネガルの光と闇や、その中で笑い、傷つき、愛し合う若者たちの青春群像です。
翻訳作業の期間やプロセスについて教えてください。
映像素材と英語のスクリプトが届いてから2週間ほどで、ハコ書き→スポッティング→翻訳→推敲→納品を行いました。映像素材自体は、現地の言葉にフランス語の字幕が出るというものでしたので、in点out点はフランス語字幕のタイミングに合わせました。また、一部フランス語でのインタビュー部分のセリフがスクリプトに載っておらず、字幕も出ないため、フランス語を聞き取れる方に素訳していただき、字幕用にリライトしました。
翻訳作業の感想を教えてください。
ハコ書きとスポッティングに非常に苦労しました。普通のDVDプレーヤーでは再生できず、パソコンで再生するとコマ戻しができないうえ、タイムコードが正しく表示されませんでした。結局、特殊なプレーヤーをお借りして何とか作業を終えました。
昼間は会社勤めがあり、同時期に別の吹替翻訳の下訳も重なって、目が回るほど忙しかったですが、私自身も知らなかったアフリカの伝統や文化を皆さんにも知っていただき、興味を持っていただければと願いつつ翻訳をしました。
ほかに、最近携わった翻訳の仕事にはどんなものがありますか?
昨年の秋から今年の春にかけて、修了生の方の下訳として海外ドラマの字幕翻訳を3本担当させていただきました。また、今年の春から夏にかけては、やはり下訳として80分前後の吹替翻訳を3本担当させていただきました。仕事としての吹替翻訳は初めてで、授業ではずっと苦手意識を持っていましたから、1本目を始めるときは「自分にできるのだろうか」と不安でした。けれどもSFやホラーという好きなジャンルだったため、楽しみながら作業を進めることができ、今では字幕とは違ったやりがいや楽しさを感じています。また、アフレコ現場も見学させていただき、非常に勉強になりました。
野村愛さんPROFILE:
シネ掘り作品では『Ghost Ship』『ロッキー和尚』『いらない人』の翻訳を担当。ハーレクインロマンス、ニュース番組の翻訳経験もあり。
「シネマアフリカ2008」上映作品のうち、字幕翻訳を手がけた作品について紹介してください。
作品名は“We are all Rwandans"、邦題「壁を越えて―わたしたちみなルワンダ人」で、ルワンダとイギリスの合作映画です。ルワンダでは1994年にフツ族とツチ族の間で大虐殺が起きました。その3年後、ニャンゲ中学校で実際に起きた悲劇を基にした短編です。大虐殺で親、兄弟、友人を失った、あるいは身近な人がその殺人に加担したことによって深く傷ついた子供たち。その子供たちに「恨みを捨て、許し合うことができなければ、ルワンダに本当の平和は訪れない」と説くムリガンデ先生。その中学を過激民兵組織が襲撃し、子供たちに「ツチ族のゴキブリどもを殺すから出せ」と迫るのです。しかし子供たちは脅しに屈することなく、「わたしたちはみなルワンダ人」と言い放ちます。そして6人が犠牲になりました。子供たちが簡単に命を奪われていく様子はとてもショッキングでしたが、その勇気は大人たちが忘れかけている大切なものを教えてくれます。
翻訳作業の期間やプロセスについて教えてください。
最初に翻訳のお話をいただいたのは3月26日でした。実際にDVDをいただいたのは4月9日で納期まで20日ほどありましたので、25分の短編にしてはかなりお時間をいただいたと思います。ところがこれで終わらなかった。最初にDVDを2枚受け取り、1枚はもともとルワンダ語で作られた映画に英語の字幕がついたもの、もう1枚はルワンダ語だけのもので、後者に日本語字幕をつけて欲しいというお話でした。ところがルワンダ語バージョンは再生できなかったので、英語字幕バージョンでタイムコードをとったら、これがルワンダ語バージョンと微妙に2秒くらいずれていたんですね。そこでもう一度タイムコードを入れ直すことになりました。初めにもっと密に確認を取ればよかったと反省しました。またそのタイムコードも100分の1秒どころか1秒単位でしか取れないソフトを使っていたので、字幕を作る方が調整してくださいましたが、やっぱり字幕の質を上げるにはSSTが欲しいかなと思いました。
翻訳作業の感想を教えてください。
シネマアフリカというイベントに参加させていただくのも今年で2年目になりますが、去年より格段に規模も大きくなり、見に来てくださった人も増えたのではないかと思います。今年は政治的にもアフリカは注目され、シネマアフリカと同時期に様々なアフリカに関連したイベントが横浜で行われた模様です。アフリカについては、まだまだ日本ではあまり知られていないのが現状ですが、ほんの少しでも日本に紹介する一助になれたことに誇りを感じますし、自分の無知にもはっとさせられました。またミニシアターくらいの会場でしたが、お客さんがどんな反応をするんだろう、字幕はわかりやすいだろうかとドキドキしました。もう一つ、上映直前の5月1日にPhoenix Film Festivalという映画祭で“We are all Rwandans”が“the best world cinema short”を受賞したという一報が入り、いい映画を訳させていただいたのだなと改めて嬉しく思いました。
ほかに、最近携わった翻訳の仕事にはどんなものがありますか?
映像翻訳ではないのですが、ジャック・二クラスのインタビューの翻訳のお仕事をアメリア経由でいただきました。今後は待つばかりではなく、もっと積極的にトライアルなど受けなければと思っています。理想はドラマの吹き替えです。
独自の伝統文化と複雑な歴史を持つアフリカの国々。そこで生まれた映画の中には、まだまだ掘り出さねばならない傑作・秀作がありそうですね。大岩さん、野村さん、たくさんのお話を聞かせてくださり、ありがとうございました。これからもその翻訳スキルで、世界のさまざまな映像の日本における語り手としてご活躍されることを願っています!

まだまだ続く「あの人は今!?」シリーズ。次回(9/10更新)もシネ掘り作品を踏み台にして大きくなった方々をどどーんと紹介します。お楽しみに〜!
好評(?)実施中の読者強制参加型特別企画「私が愛したワル選手権」。前号までの「伝説の犯罪者たち」シリーズで紹介したワルのうち、あなたがビビビッときたワルに1票投じてあげましょう!

【ご注意!!】最近フェロー・アカデミーの受付において、はっしゅの友人をかたるスタッフにより、受講生が「ワル選手権」への投票を必死でお願いされるケースが続発しています。そのような状況に遭遇された場合、抵抗すると非常に危険ですので、ぜひおとなしく投票してくださいますようお願いいたします。
★「私が愛したワル選手権」投票要綱★

■■対象■■ 今回の投票では以下のワルが対象となります(各ワルの詳細はバックナンバーをご覧ください)。
●アル・カポネ ●ボニーとクライド ●ダッチ・シュルツ ●ラッキー・ルチアーノ
●マイヤー・ランスキー ●ミッキー・コーエン ●サム・ジアンカーナ

■■投票方法■■ 上記対象のうち、あなたが一番好きなワルを選んで、必要事項を明記のうえ以下の宛先にメールでお送りください。投票の基準は、最もワルそうだから、人間的に愛すべきキャラだから、格言・落書きが気に入ったから、などなど、何でもかまいません。
【メールの件名】私が愛したワル選手権
【宛先】info@fellow-academy.com
【必要事項】●投票したいワルの名前 ●氏名 ●メールアドレス ●投票理由(1文字以上恋人未満)
注1)特にこれといったワルがいない場合は、そこをなんとか絞りこんでください。
注2)哀●翔、竹●力など、対象以外のワルに投票しても無効です(それに彼らは極道役が多いだけです)。

■■応募締切■■ 8月31日(日) *お子様の夏休みの宿題にも最適です。

■■No.1ワルの発表■■ 9月10日(水) 当コーナーにて(雨天決行)

■■賞品■■ No.1に選ばれた(最も得票数の多い)ワルの投票者には抽選で豪華度120%の賞品をプレゼント!
(注:「豪華度120%」とは以前の「第2回シネ掘りアカデミー賞」の賞品と比較したもので、あくまで当社比です)

〜混迷するねじれコラムが、あなたの一票で変わります!〜
(written by はっしゅ)