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ついに始まりました。実務翻訳の世界を野菜畑にムリヤリ例え、そこで発生する仕事を作物にムリヤリ例え、その最新事情をお伝えすることを産地直送にムリヤリ例えた、そんなオーガニック系実務翻訳コラム「実務とれたて直送便」。世間にその存在が浸透しないうちはおそらくタイトルを「債務とりたて直送便」などと勘違いする方もおられましょうが、「実(じつ)とれ」と略称で覚えてくださいませ。どうか末永くよろしくお願いいたします。
記念すべき第1回目は、いま世界的な人気を誇るゲームに関連した媒体として「ゲームメディアサイト」をとりあげます。その中でも、多くの翻訳記事を掲載しゲームファンの厚い支持を得ている国内サイトの代表格、GameSpot Japanを例にとり、ゲームメディアサイトの記事翻訳の気になる実状を紹介します。
▲GameSpot Japanのサイトはこちら
今回紹介する「GameSpot Japan」はシーネットネットワークスジャパン株式会社(以下シーネット)が運営するメディアサイトの一つで、ゲーム関連の国内および海外記事を配信している。ひとくちにゲーム関連といっても、新作ソフトの発売情報やレビューから、ゲームメーカーの合併などビジネスの話題、さらにはゲームが人間の脳に与える影響をレポートしたものまで、その内容は実に幅広い。また翻訳記事においては、シーネットの米国本社が運営するサイトの掲載記事がソースになっているため、独自性の高い充実した内容を展開できるという特色がある。

今回お話をうかがった藤本和彦さんは、翻訳編集だけでなくその前段階の作業、つまり翻訳すべき記事を米国の豊富なソースからピックアップする作業も担当している。GameSpotのほか複数のメディアサイトを複数の担当者が交代でチェックし、海外記事を選び、重要度が高いと思われるものから順に、複数回に分けて翻訳者への発注を行う。最初の発注は早朝に行われ、翻訳・チェックを経て午前中にはサイトにアップされるのだとか。記事の鮮度を重視するメディアサイトならではの作業スケジュールだ。ゲーム業界は日本が中心となっている業界なので、そこに海外独自の視点で書かれた価値ある情報をいかに引っ張ってこられるかが勝負どころ、と藤本さんは話す。
▲GameSpot Japanのトップ画面。最新トピックスの紹介、新作ソフトのランキングに加え、ユーザーレビューやブログ、フォーラムなど読者参加型の要素も満載だ。
ここで翻訳記事ができるまでをさらに詳しく追ってみることにしよう。

社内の担当者がピックアップして発注した海外記事は、在宅のフリーランス翻訳者が2時間ほどで和訳。納品された原稿を社内で編集したり、誤訳や不適切な言葉がないかチェックしたりする作業が1時間ほどで行われ、さっそくサイトにアップされる。Webニュースの世界にありがちな急ピッチの作業だ。常に発注をかけている在宅翻訳者は10人前後で、翻訳料金は記事のワード数を目安に決定される。短納期とはいえ、それぞれの翻訳者は基本的に受注時間が決まっている固定シフトなので、それに合わせてスタンバイをしている。

納品原稿を編集・チェックする立場の藤本さんは、どのような点に注意しているのだろうか。

「新聞・雑誌の記事と同じように、差別語や曖昧な表現は避けるようにしています。また特定のメーカーの損益に関わる内容、例えば具体的な企業名を挙げて批判するようなくだりなどはいっそう慎重にチェックします。文体としては、一般の読者が読みやすい表現を心がけつつ、記事としてある程度の固さもキープする、そのバランスが大事だと思います」(藤本さん)

ゲームというエンタテインメント性の強い分野でありながら、記事である以上は公平な立場から読者に事実を迅速かつ正確に届けることが肝心。そんなメディアサイトとしての使命感が、取材を通じてひしひしと感じられた。
▲GameSpot Japanの翻訳記事はゲーム関連のトピックを幅広く網羅。ソース記事へのリンクが付いたものも多いので、原文を参照することも容易にできる。
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