実務とれたて直送便
こりゃええぞ! 映像チュートリアルは便利アル!
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なんだかんだで6回目を迎えた「実とれ」ですが、今回初めて見たという方のために、あらためて「実とれ」の正しい楽しみ方を解説します。

【1】 パソコンを買いに行きます。
≪中略≫
【34】 フェローのホームページから「実とれ」のページを開きます(一度に10回くらい開くとアクセス数向上に貢献できます)。
【35】 冒頭のシャレっ気たっぷりの文章を、「ああ、これが面白い文章というものなんだ!」と自分に強く言い聞かせながら読みます。
【36】 そのあとに続く本題の文章を、「ああ、このコラムって、タメになる情報満載だな〜」と自分に強く信じ込ませながら読みます。
【37】 2ページ目に載っているフェロー受講生・修了生のインタビュー記事を読んで、「ああ、私もいつかこうやって翻訳の仕事に関わりたいな〜」と強く念じ、宇宙と一体になります。
【38】 受講に興味がわいたら、ホームページの各講座紹介ページへ!(←結局宣伝かい!)

どうです、わかりやすいでしょう? ……えっ、わかったけど従う気がしないって? う〜む、やはりこの高尚なコラムについて説明するには、文章だけでは足りないようですね……。

というわけで今回のテーマは「映像チュートリアル」。ソフトウェアなどの機能や使い方を解説するために作られる「チュートリアル」を、動画つきでさらにわかりやすくしたものがいま増えているんです。その気になる翻訳の裏側を探ってみました。みなさん、チュート半端でなく、最後まで読んでくださいね!(←ここでさきほどの解説【35】を実践しましょう)
映像チュートリアルならではの多様なローカライズ行程
今回映像チュートリアルについてお話を伺ったのは、マルチメディアのコンテンツ翻訳において多数の実績を持つDNA Media株式会社。同社が実際に携わったコンテンツをモデルケースにして、映像チュートリアルができるまでのプロセスを紹介しよう。

例としてとりあげるのは、CRM(顧客関係管理)ソフトウェア。企業が取引先の情報や商談の進行状況などを管理するためのツールで、近年注目を集め、着実に導入事例が増えている。あるCRMソフトを提供する米国企業の日本法人から依頼を受け、DNA Mediaでは英語版のオンライン映像チュートリアルから日本語版を制作する一連のプロセスを担った。同社の代表取締役、中尾勝氏によると、そこには単なるドキュメントの翻訳とは異なり、複雑な作業工程が存在したという。

「まずは英語版の映像ファイルや音声ファイルを揃えて、含まれる文字数、必要なオーサリングツール(映像・音声などのデータを一つのコンテンツとして編集するためのツール)などを2週間ほどかけて解析する作業から始まりました。その後、画面に表示されるテキストと、画面にともなって流れるナレーションの翻訳を進めていきました。ナレーション翻訳に関しては、英語音声をネイティブがディクテーション(ヒアリングして書き起こす作業)し、その原稿をもとに登録翻訳者が日本語に翻訳。それをさらに社内でチェックし、よりナレーション原稿としてふさわしいものになるようにリライトする、という工程です」

また日本語版のソフトに完全対応したチュートリアルにするため、翻訳以外のローカライズにおける工夫もあったという。

「英語版チュートリアルは何分間ずつかに分かれた多くのファイルで構成されていますが、日本語版を作るにあたり、クライアントと協議して必要な映像を選定していきました。また映像に出てくる実際のソフトの画面は、当社で日本語版のダミー画面をキャプチャして差し替えました。いろいろな例を説明する場面でも、日米の文化的な違いを念頭に置いて内容をアレンジしています」

さらに同社はプロのナレーターが所属するプロダクションとのつながりが深く、社内に収録スタジオを所有している強みを活かして、日本語ナレーションの収録作業までを担当。こうして日本語版映像チュートリアルは完成した。
社内用eラーニングも… ますます高まる動画コンテンツの翻訳需要
ほかにもDNA Mediaでは、大手ITベンダーが開発した、マルチメディア再生用のアプリケーションに関する映像チュートリアルの翻訳を手がけた。このコンテンツでは、3〜20分単位で作られた30種類ほどの映像から英語ナレーションをディクテーションして翻訳、さらに日本語字幕の翻訳・制作も行った。このように映像チュートリアルではナレーションと字幕どちらの翻訳も発生する可能性があるが、それぞれに必要なスキルとは何だろうか。

「ナレーション翻訳の場合は、話し言葉として、耳で聞いてすんなりと内容が理解できるかが重要になってきます。例えば同音異義語がある言葉は、音だけでは誤解を招きやすいので、使うときは注意が必要です。それから画面が映っている時間の長さにおさまる分量にする、いわゆる尺あわせも大事です。いっぽう字幕翻訳の場合は、英語から日本語に翻訳すると分量が増えてしまうため盛り込める情報量を絞らないといけません。そのため、原語の情報をどう取捨選択するかという判断が重要になるでしょう。そしてどちらの場合も、原文に忠実に訳すだけでは実用性に欠けることがあるので、日本のユーザーを意識した柔軟なアレンジ力が求められると思います」

映像チュートリアルに加え、eラーニングコンテンツの翻訳制作も広く行っているDNA Media。最後にこうしたコンテンツの今後の展望について伺ってみた。

「eラーニングを例にとると、外資系企業で社員教育に導入する事例が増えています。一人一人の社員が自分のパソコンから都合のよい時間にアクセスして研修を受け、なおかつ企業も各社員の受講状況をオンラインで管理できる、というメリットがあります。こうしたWeb上の動画コンテンツの翻訳は全体的にたいへん増加傾向にありますので、対応スキルをしっかり持った翻訳者ならば、需要はあるでしょう」

実務翻訳のスキルに、ユーザビリティを意識した柔軟な表現力。それらを掛け合わせれば、翻訳者の活躍の場はおのずと広がっていくに違いない。
 
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