最後は修了生の細沼さんが携わったユニークな翻訳。現代のニッポン人にもその奥ゆかしさをまだまだ詳しく知られていない「能」と「狂言」の、しかも論文! 翻訳をすることになったきっかけと、その後のお仕事の発展ぶりについてもお聞きしました。
細沼佳代さん(通学講座「ビジネス文書(財務・会計)」修了生)

▲細沼さん所有の「能」に関する参考資料の数々。本格的な知識をつけるための努力がうかがえる。

▲細沼さんが歌舞伎入門セミナーで講義をつとめたときの1コマ。
通訳ガイド免許を活かし、ある薪能で英語スタッフをしていたところ、能楽専門家の方とご縁ができ、国際学会で発表するお能や狂言の論文翻訳を依頼されました。能面や能管(横笛)に関する論文は非常に専門性が高く、能楽堂内の図書室で何日も調査し、格調の高い表現にも留意しました。
一番苦労した点は、「(能)面」は通常maskと訳されますが、「面」は神聖で大切なものであり、maskを使わないでほしいということでした。そこで最初に「面」を丁寧に定義し、以後omoteとしたらどうかと提案したところ大変満足され、また他国の学会出席者から、「面」が能という演劇の中でいかに特別な存在であるかが分かったとも伺いました。
この方が他の能楽専門家や著名な狂言師の方もご紹介くださり、留学生向けの講義や狂言の紹介文などの翻訳も承りました。狂言師の方には複数の翻訳候補者がいたそうですが、日本文化の紹介に慣れた通訳ガイドがいいと私を選んでくださったそうです。
能楽の国際学会はめったにありませんが、能楽は一朝一夕で学べるものではなく、普段から能楽を鑑賞したり、関連講義を受講したりして徐々に理解を深めています。また、歌舞伎好きが転じて、最近では通訳ガイド向けに歌舞伎入門セミナーも行なっています。能や歌舞伎等の古典芸能を鑑賞すると、あらためて日本語の美しさやリズムの心地よさを発見できるので、翻訳にも生かせたらと思っています。 |
いかがでしたか? このように、スキルを活かせる場が至る所に存在する英訳。自国の文化の魅力を外国人に広められるのはもちろん、自分自身が深く理解するきっかけにもなるという、一粒で二度おいしい仕事ですね。
いま英訳を勉強しゆうニッポン人よ、英訳はまっこと意義深い仕事じゃき、チャンスを獲得しよったらぜひ英語の海に船出してみるぜよ!(※エセ土佐弁をご容赦ください。) |