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ええ訳、するぜよ! 〜ニッポンの英訳Part2〜
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花火、すいか割り、実とれ、金魚すくい、盆踊り、実とれ、かき氷、蚊取り線香、実とれ――。

きびしい残暑が続きますが、このようにニッポンの夏にはステキな風物詩がたくさんありますね。ぜひ英訳して世界中に広めてあげたいっ!と、翻訳者の血も騒ぐってもんです。

そこでまたまたやってきました、ネタの尽きない英訳シリーズ第2弾!! 以前の「ええ訳、しまっせ! 英訳でニッポン文化を海外へ」に続き、今回もニッポンの文化や芸術に関する翻訳を手がけた方々の声をお届けします。今回紹介する3つのエピソードは、案内表示、推薦状、論文など実用的な翻訳でありながらも、契約書やマニュアルのような定型表現の多い文書に比べるとアーティスティックな工夫のしどころがいっぱい。そんな奥の深い英訳の神髄に触れてみましょう!
ニッポンと虫とのつながりを紹介! 英訳された案内板もムシできない?

今回のトップバッターをつとめるのは当校講師の森本千秋先生。虫に関する展覧会の開催にあたり、ニッポンの独特な表現を英訳したとか。これなら海外の子どもたちだって自由研究に不自由しない?
 

森本千秋先生
(通学講座カレッジコース「ビジネス総合」、単科「実務総合演習(ビジネス・経済)」「ビジネス文書(契約・一般)」、通信講座マスターコース「ビジネス総合」担当)

 
今夏、東京の某博物館で開催されている某展覧会の英訳を手がけました。英訳、しかも内容があまりよく知らないというか、ハッキリ言って大の苦手の「昆虫」ということで、ちょっと迷いましたが、対象となる文章は専門的なものではないと聞き、「何事も挑戦!」がモットーの私、お引き受けしました。
 
翻訳案件は2種類。一つはコーナー説明で、400字程度のものを数点。主に小学生向けなので、日本語も難しい言葉は使っていません。よって、英訳でもわかりやすい平易な英語を心がけました。実は英文校正をリサ・チャン先生(*カレッジコース担当)にお願いしました。フェロー講師のコラボレーションで出来上がった翻訳です!
 
もう一つは、昆虫をテーマに集めた日本の伝統工芸品の品名英訳。これは苦労しました。詳しく訳すというより、展覧会の目的に沿った訳を心がけました。たとえば「紫絽地網干蛍染縫小袖」は、今回の展覧会では「蛍の刺繍」という点が重要なので、Kimono with Firefly Embroideryのようにしました。
 
実際に展覧会に行ってみて、自分の訳も展示物と一緒に展示されているというのはうれしいものだと感じました。実務翻訳では、出版や映像とちがって、自分の翻訳が一般の目に触れるということはあまりありません。こういうお仕事も励みになります。

英訳は爆発だ? 日本人アーティストの海外進出を強力バックアップ!

続いては、多分野の翻訳学習を経験した弘川さんによるアート関連の英訳経験談。アートギャラリーで働いているのが縁で携わることになった英訳とは?
 

弘川有希絵さん(通学講座「フリーランスコース」修了生)
 
ある地域が自国のみならずさまざまな国や地域から芸術家を招き、助成金を出して滞在・制作できる環境を与える「アーティスト・イン・レジデンス」という事業が世界各地で行われていて、それを利用して日本人アーティストが海外で活動しようとする際に英文資料が必要になります。そのためにほかのアーティストが書いた推薦文を英訳しました。その推薦文には直訳された英文が付いていたのですが、そのままでは伝わらないのでは?と思える部分があったので、自分なりに表現を工夫して英訳しました。
 
訳す際には美術でよく使われる英語表現をとりいれて自然な文章に仕上げようと思い、海外のアート関連のウェブサイトなどで実際どんなふうにアーティストが紹介されているのかを参考にしました。例えば推薦文の中で作風を「人間の潜在的な欲望や狂気をあぶり出し……」と紹介している部分は、もともと「potential」「craziness」といった単語があてられていましたが、海外のサイトを参考にしたらそれぞれを「hidden」「insanity」と表現したほうがそれらしくなるとわかったので修正していった、という具合です。
 
←弘川さんがスタッフをしているギャラリー内の風景。次頁の「パーソナルヒストリー」でも詳しく紹介します!

能と狂言の論文? 伝統芸能の研究結果を英訳で世界に発信!

最後は修了生の細沼さんが携わったユニークな翻訳。現代のニッポン人にもその奥ゆかしさをまだまだ詳しく知られていない「能」と「狂言」の、しかも論文! 翻訳をすることになったきっかけと、その後のお仕事の発展ぶりについてもお聞きしました。
 

細沼佳代さん(通学講座「ビジネス文書(財務・会計)」修了生)
 

▲細沼さん所有の「能」に関する参考資料の数々。本格的な知識をつけるための努力がうかがえる。
 

▲細沼さんが歌舞伎入門セミナーで講義をつとめたときの1コマ。
通訳ガイド免許を活かし、ある薪能で英語スタッフをしていたところ、能楽専門家の方とご縁ができ、国際学会で発表するお能や狂言の論文翻訳を依頼されました。能面や能管(横笛)に関する論文は非常に専門性が高く、能楽堂内の図書室で何日も調査し、格調の高い表現にも留意しました。
 
一番苦労した点は、「(能)面」は通常maskと訳されますが、「面」は神聖で大切なものであり、maskを使わないでほしいということでした。そこで最初に「面」を丁寧に定義し、以後omoteとしたらどうかと提案したところ大変満足され、また他国の学会出席者から、「面」が能という演劇の中でいかに特別な存在であるかが分かったとも伺いました。
 
この方が他の能楽専門家や著名な狂言師の方もご紹介くださり、留学生向けの講義や狂言の紹介文などの翻訳も承りました。狂言師の方には複数の翻訳候補者がいたそうですが、日本文化の紹介に慣れた通訳ガイドがいいと私を選んでくださったそうです。
 
能楽の国際学会はめったにありませんが、能楽は一朝一夕で学べるものではなく、普段から能楽を鑑賞したり、関連講義を受講したりして徐々に理解を深めています。また、歌舞伎好きが転じて、最近では通訳ガイド向けに歌舞伎入門セミナーも行なっています。能や歌舞伎等の古典芸能を鑑賞すると、あらためて日本語の美しさやリズムの心地よさを発見できるので、翻訳にも生かせたらと思っています。

いかがでしたか? このように、スキルを活かせる場が至る所に存在する英訳。自国の文化の魅力を外国人に広められるのはもちろん、自分自身が深く理解するきっかけにもなるという、一粒で二度おいしい仕事ですね。
 
いま英訳を勉強しゆうニッポン人よ、英訳はまっこと意義深い仕事じゃき、チャンスを獲得しよったらぜひ英語の海に船出してみるぜよ!(※エセ土佐弁をご容赦ください。)
 


■LINK:今回のテーマに関連するバックナンバーはこちら
 
file.11 盆・ヴォヤージュ! たびたび出合う旅の翻訳
(外国人向けに日本の観光情報を翻訳した修了生のエピソードも紹介)

 
file.13 ええ訳、しまっせ! 英訳でニッポン文化を海外へ
(修了生のオムニバス英訳経験談。日本酒、襖絵などユニークな題材が豊富!)
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