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今年のクリスマスの予定はお決まりですか?年の瀬のビッグイベントに向けて、すでに街にはイルミネーションが徐々に灯り始めていますね。そんな中ロマンス小説の大御所、ハーレクイン社からもクリスマス向けの季刊本が登場。2冊同時に刊行され、それぞれに人気作家たちが綴った短編を4編ずつ収録しています。
今回はそれぞれの本で1編ずつ翻訳を手がけている柿沼瑛子先生に、気になる翻訳エピソードをうかがいました。
『情熱の贈り物』 『情熱の贈り物』
ミシェル・リード作『シチリア式結婚』(柿沼先生訳)ほか3編を収録
『イブの星に願いを』 『イブの星に願いを』
マーガレット・ムーア作『愛と喜びの讃歌』(柿沼先生訳)ほか3編を収録
ハーレクイン/各1,260円(税込)
 訳者の柿沼瑛子先生に聞きました
本書に収録された2編を訳し終えるまでの経緯を教えてください。
柿沼先生:ワセダ・ミステリ・クラブの先輩が翻訳プロダクションをやっておられまして、そちらからの紹介でいただきました。ハーレクイン・ロマンスは5年――いや、もっと前かな――に同じ経緯で一度やったことがあったので。 訳し終える経緯といいますか、大変だったのはたまたまデイヴィッド・エディングスのベルガリアード物語の再刊の校正と重なってしまったことで、いやあ、15年前に訳した作品なんて見るもんじゃありませんなあ…。
それぞれの短編の簡単な内容紹介と読みどころを聞かせてください。
柿沼先生:『シチリア式結婚』はいわゆる小さな誤解から本当は互いに愛し合っている夫婦が別居している、というよくある話ですが、ヒロインの心理がぐるぐる回るのがおもしろい。本当に携帯のうずまきマークみたいなんです(笑)。
『愛と喜びの讃歌』はヒストリカルなんですが、顔に傷を負って世をすねるお貴族様と、孤児院を経営する貧しい娘の、まるでケンカ漫才みたいなやりとりが楽しい。あ、でも誤解を招くと困るのでいっておきますが、けっしてラブ・コメディではなく、れっきとしたラブ・ロマンスです。
これまでミステリー、ファンタジーホラー、エッセイなど幅広いジャンルを訳してきた先生ですが、ハーレクインの翻訳で特に気をつけるべき点はありますか?
柿沼先生:やっぱり表現でしょうね。単調にならないように、難しくなりすぎないように、でもヤングアダルト物っぽくはならないように、てな感じでしょうか。あとは恋人間の会話ですね。『シチリア』は最初から夫婦だったからいいんですが、『愛と喜び』の方は身分が違うし、最初は他人同士なので、どのあたりからだんだん近づけていくか、というのが結構気を使いました。
『シチリア式結婚』が現代を舞台にした「コンテンポラリー」である一方『愛と喜びの讃歌』は19世紀が舞台の「ヒストリカル」ですね。時代の異なる「ヒストリカル」は訳すときにも何か特別な注意点があるのでしょうか?
柿沼先生:特殊な訳語とか表現とか呼称については、ちゃんとそういう時のための約束事みたいなのがあって、そういうノーハウを編集プロダクションから渡されているんですよ。まあ、ヒストリカルっぽいものはアン・ライスで結構やっていましたし、それほど意識したことはありません。
ほかに本書の翻訳にまつわるエピソードがあったら教えてください。
柿沼先生:大体3と4で答えちゃったと思うんですが、『愛と喜び』に出てくる子守歌の出典がわからなくて苦労しました。
最後に、先生は今年のクリスマス、どうお過ごしになる予定ですか!?
柿沼先生:ええ、今年につきましてはイブもクリスマス当日も、大阪ドームでKinKi Kidsのコンサートに参加しております(笑)。
柿沼先生、ありがとうございました。
ちなみにそれぞれの短編の合間には、日本の読者に向けた作者のメッセージと、クリスマスにちなんだ料理や装飾品の作り方の解説が載っていて、これも読みごたえ充分です。 かの有名な恋愛小説『冷静と情熱のあいだ』を思わせる赤と青の表紙は、恋する女性ならついつい手が伸びてしまうはず。素敵なラブストーリーの詰まった贅沢なプレゼントを開けて、誰よりロマンチックなクリスマスを過ごすための参考にしてみては?

*柿沼先生のプロフィール
文芸翻訳家。ミステリー、ホラー、耽美小説と幅広い分野の作品を手がける。『ヴァンパイヤ・レスタト』(扶桑社ミステリー)などの“ヴァンパイヤ・クロニクル”シリーズをはじめとするアン・ライス作品や『フランチェスコの暗号』(新潮社)『秘められた掟』(東京創元社)『パリ 遊歩者のまなざし』(DHC)など訳書多数。
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