 | まずはストーリーと読みどころの紹介をお願いします。 |
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| 三輪さん: | 舞台は1970年代のイギリス。両親と休暇旅行に出かけた南ウェールズで、“ウィッシュハウス”と呼ばれる古い屋敷に入りこんだ15歳の少年リチャードは、屋敷の住人である風変わりな画家一家と知り合いになります。ヒッピー風でエキゾチックな一家の暮らしぶりにたちまち魅せられ、リチャードは画家の美しく奔放な娘クリオと愛し合うようになります。やがて画家のモデルもはじめたリチャードですが、画家の秘密にしている絵の存在を知り、後々まで苦い後悔を残す「あること」を目撃してしまいます。はたしてリチャードの見たものとは……?
いわゆる少年のひと夏のほろ苦い「青春ストーリー」を描いた作品です。歴史を題材にした作者(セリア・リーズ)の前3作とはずいぶんイメージが異なりますが、古い館、南ウェールズのうっそうとした森、画家一家の風変わりな生活など、読者を異世界に連れていってくれるという点では、同じように楽しんでいただけると思います。 |
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 | 本書はどのような経緯で訳すことになったのですか? |
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| 三輪さん: | 現在受講しているゼミの亀井よし子先生の紹介で、版元の理論社さんとはリーディングでおつきあいさせていただいていました。2年ほどリーディングをつづけて実績もできたころ、そろそろ1冊どうでしょうか、ということで、今回のお話をいただきました。 |
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 | ミステリアスで妖しげな匂い漂う本書ですが、登場する題材の中で翻訳が大変だったものはありましたか? |
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| 三輪さん: | いちばん大変だったのは、画家が傾倒していたというウェールズ神話の登場人物やエピソードの訳出です。なかには地元の言い伝えや古い書物から引っぱりだしてきたような登場人物もいて、日本語はおろか、英語でも文献がない!インターネットの関連サイトや論文を読み漁り、自分でもウェールズ語の読み方を勉強して、ようやく「解読」できたときには、何万ピースものジグソーパズルを仕上げたような気分でした。 |
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 | ほかに本書を訳すにあたって苦労した点、心がけた点などあれば教えてください。 |
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| 三輪さん: | 作者の過去3作の邦訳作品の評判がよく、すでに読者もついていたので、訳者が変わって作品のクオリティが下がったとだけは言われないよう、自分なりに努力しました。
あと、YAにしてはちょっとセクシーなシーンが出てくるのですが、読んでいて盛り上がるように(笑)、ムードを損なわないよう言い回しなどには気をつかいました。 |
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 | 現在師事されている亀井先生はどんな方ですか? そして先生のご指導でどんな点が印象に残っていますか? また通学することのメリットと感じる点もあったら教えてください。 |
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| 三輪さん: | 厳しくも温かく、という言葉がぴったりの先生だと思います。授業では生徒の訳文の善し悪しにはビシビシと指摘してくださるので、自信喪失することもしょっちゅうですが、一旦仕事を受ける側にまわったときには、どこまでも親身になって応援してくださる、とても信頼できる先生です。また、若い世代のわたしたちが見過ごしがちな日本語の乱れなどを折に触れて解説してくださるのも、貴重な勉強になっています。
通学のメリットは、やはり励まし合える仲間の存在だと思います。今回、初の訳書を出したときも、家族や友人以上にゼミ仲間たちがいちばん喜んでくれて、志をおなじくする仲間がいることの幸せをしみじみと感じました。 |
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 | 最後に、現在文芸翻訳家デビューを目指して学習中の方にメッセージをお願いします。 |
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| 三輪さん: | やはり「あきらめないこと」、これにつきると思います。わたしの身の周りでも、わたしよりよほど上手い翻訳仲間たちが「待ち時間」に耐えきれず勉強をやめてしまうことが少なくなく、もったいないなあと感じていました。今まで払った勉強代は取り返してやる、くらいの気概もときには必要ではないかなと思います。そうしてあきらめずに続けていれば、チャンスは必ず訪れると思います。 |
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 | 最後に、現在翻訳家デビューを目指して学習中の方にメッセージをお願いします。 |
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| 三輪さん: | 翻訳には体力も必要です。わたしの場合、デビュー作は映画関係だったので、話をいただいてから締め切りまで約1ヵ月しかなく、1日でも病気で寝込んだらアウトという状況でした。デビューのチャンスがいつめぐってきても対応できるように、体力をつけて、健康管理にも気を配ってください。 |