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通学講座「映像基礎」の授業を
のぞいてみました

収録現場を教室に再現
プロが演じるアフレコ演習


「映像基礎」はフェロー・アカデミーの映像翻訳コースの入口となる初級講座。ドラマとドキュメンタリーを教材に、半年間で吹替・字幕・ボイスオーバーそれぞれのルールと翻訳テクニックを学ぶ。翻訳演習のほか、実践力の向上につながる特別演習も実施。見学した「アフレコ演習」もその1つだ。
この演習は、教室にプロの声優を招き、受講生全員の吹替台本を演じてもらうというもの。収録現場に立ち会う感覚で、自分が訳した台詞が「どう聞こえるか」を客観的に知ることができるため、受講生に大好評だという。
この日の課題は、20世紀前半のイギリスを舞台にしたドラマの2シーン。受講生たちは事前に授業でブラッシュアップした台本原稿を提出している。授業が始まると、講師の中尾悦子先生は「バリバリご活躍中のお二人です」と声優のお二方を紹介。「お二人がいろいろとコメントしますので、その場で台詞の代案を出してください」と受講生たちに声をかけ、さっそく演習に入っていく。
最初の課題箇所は男女が言い争いをするシーン。台本を読み始めると、激しいかけ合いが教室内に響きわたる。艶っぽくて抑揚の効いた、吹替版おなじみの"あの演技"だ。
演じ終えたお二人に先生が感想を求めると、男優さんはある台詞について「音を聞いてから演じるのでちょっと遅れるんですが、それでも言葉が足りなかった」と尺の短さを指摘する。先生に「どうします?」と聞かれた受講生は代案を示したが、それでは逆に「こぼれてしまう」という。悩む受講生。すると先生は「尺を微調整したいときは、まず助詞や語尾を足したり削ったりしてみるといいですよ」と助け舟を出した。
収録現場さながらの臨場感と緊張感。声優からのフィードバックとベテラン翻訳者からのアドバイス。なんともぜい沢な演習だ。


声優との質疑応答で
現場の生の声を聞く


全員の台本が演じられると、2つめのシーンへ。声優のお二人は演技を終えるたび、尺の長短だけでなく、気になったところを率直に指摘する。
時代背景にそぐわない言葉。言葉不足で意味が曖昧なところ。いざ演じてみると、台詞のかぶりが原因で不自然な会話に聞こえてしまうところ。「改行があったほうが読みやすい」「口が見えているかどうかを知りたいので、オンとオフの切り替わりがわかるように書いてもらえるとうれしい」など、台本の書き方への要望もあった。
先生はそれらの意見を受け、必要があれば台本を作成した受講生に代案を求めた上で、どう対処すべきかをアドバイス。さらに翻訳者の視点で、日本語として不自然なところ、解釈の不十分なところを正していった。
演習のまとめとして、先生は「収録現場では代案をすぐに出す必要があるけれど、台本を納品する時は自分でこうと決めた確定版を出すこと」「わかりやすく読みやすい台本に仕上げることがスムーズな収録につながる」と要点を2つ伝えた。そして、声優のお二人から「尺の短いところはあったものの、書き言葉でなくちゃんと吹替台本として台詞、会話になっていた」と伝えられると、受講生に向かって「基礎クラスでは最大の褒め言葉ですよ」と満面の笑みを見せた。
その後、質疑応答の時間が設けられると、ある受講生が現場での台本修正について質問。「翻訳者さんがいないときはディレクターさんが直すことが多い。ただし削るのは簡単、足すのは難しいので、台詞は多めのほうがいいです」という貴重な助言を得て、授業終了となった。
このアフレコ演習がそうであるように、同校の映像翻訳コースは「現場」とのつながりを重視している。中級・上級講座では、制作会社スタッフがトライアル合格のポイントなどを伝える「トライアル対策セミナー」を開催し、今春からは上級講座(ゼミ)限定で制作会社のトライアルを実施するとのこと。この日学んだノウハウを受講生たちが実践に生かす日は、そう遠くはなさそうだ。


●講師コメント
フェローはデビューしやすい学校
実力をつければ必ず花開きます


「映像基礎」では、ドラマを教材に吹替演習と字幕演習に取り組み、ドキュメンタリー作品を使ってボイスオーバーを学びます。出版翻訳や実務翻訳との違いを理解し、映像翻訳のスキルをまんべんなく習得することが目標です。字幕演習においては、プロの必須ツールである「SST」の操作を学び、課題もSSTで仕上げていただきます。
映像翻訳では、スクリプトの意味を正確に理解できる英語力、ドラマの流れや人の心の動きを読み取れる力が求められます。ただし、最終的には日本語力の勝負。豊かな表現力がものをいうので、日頃から本や新聞を読み、ニュースを見て、言葉を蓄積することを心がけましょう。また翻訳力をブラッシュアップするには、誰かに評価してもらうことが一番。授業の課題に真剣に取り組むことはもちろん、トライアルのチャンスがあったら積極的に挑戦してください。
翻訳は孤独な営みですが、学校に来れば切磋琢磨する仲間に出会え、将来仕事を融通し合ったりする長い関係に発展します。フェローでは進路相談もしていますし、制作会社との橋渡しもしているのでデビューもしやすい。通学すれば、いろいろなメリットがあると思いますね。
今はメディアやチャンネルが格段に増え、デビューのチャンスは大きく広がっています。そのぶん競争も激しくなっていますが、実力をつけることができれば必ず花開きます。吹替も字幕もできることは、大きな強み。「映像基礎」をファーストステップにして、両方のスキルをしっかりと身につけていってほしいと思います。


◆中尾悦子先生のプロフィール◆
映像翻訳者。商社勤務などを経て、フェロー・アカデミーで矢田尚氏に師事し、プロデビュー。主な作品に、映画「フリーウィリー 自由への旅立ち」「デイズ・オブ・グローリー」、TVドラマ「LAW&ORDER:性犯罪特捜班」、「ジェシー」、アニメ「ザ・シンプソンズ」など。


『通訳者・翻訳者になる本2018』(イカロス出版発行)より転載
(Text 金田修宏 Photo 岩田伸久)


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