reco本リレー


出版翻訳家が最近読んだおすすめの本=“reco本”を、毎月リレーで紹介していきます。「次はなんの本を読もうかな」と思ったら、ぜひreco本を手に取ってみてください。バトンが誰に渡るのかも、お楽しみに!

前回の河野万里子さんからバトンを受け取ったのは、「たまに夜中の短いメールで楽しく盛りあがる仲」という法村里絵さんです。
今回もぜひお楽しみください!

法村里絵さんのreco本


『人間喜劇』
ウィリアム・サロイヤン 著
小島信夫 訳 (晶文社)
子供向けの本のように見えるかもしれないが、大人にこそ読んでほしい一冊だ。何かオススメは?……と訊かれたら、絶対にこれ! 正確に言うと“最近読んだおもしろい本”ではなく“最近も読んでやっぱりおもしろかった本”で、もう何度読み返したかわからない。

『人間喜劇』は1943年にアメリカで出版され、1950年に初めて日本語に翻訳されている。そう、ずいぶん昔だ。でも、少しも色あせていないどころか、いつ読んでも新鮮だし、今の時代だからこそドキッとする場面もあって驚かされる。

物語の舞台はカリフォルニア州のイサカの町。そこで暮らす14歳のホーマーは、学校が終わったあと、夜中まで電報配達をしている。戦死のしらせを届けるのは、吐きそうなほどつらい。それでも、父親が亡くなっていて、兄は戦争に行っているから、母親を助けようと黙々と配達をつづける。そうして、のびやかな心と鋭い感性を持った元ガキ大将は、見るみる大人になっていく。ホーマーのくもりのない目に映る世界は、とても厳しいけれどやさしい。そして、ここに登場する人々はみんなすてきだ。

この本を読むたびに感動し、不思議な安心感をおぼえ、また読みたくなる。
オススメ中のオススメ。ぜひぜひ読んでいただきたい一冊です!!!

法村里絵さんのプロフィール:
文芸翻訳家。ジョン・ガスパード『マジシャンは騙りを破る』『秘密だらけの危険なトリック』、アメリア・カヘーニ『秘密の心臓』『悪の道化師』、ヒラリー・ウォー『失踪当時の服装は』、S・J・ボルトン『緋の収穫祭』『毒の目覚め』、リチャード・バッグ「フェレット物語」シリーズ、キャサリン・ライアン・ハイド『ペイ・フォワード』、サンドラ・ブラウン『憎しみの孤島から』、など訳書多数。

編集部のコメント

著者サロイヤンはアルメニア人移民の子として、1908年にカリフォルニア州フレズノで生まれました。子どものころ、ホーマー少年と同じように電報配達をして学費を稼いだそうです。『人間喜劇』はもともと映画のシナリオとして書かれたものを、サロイヤン自身が映画に先立って小説化しました。映画も高く評価され、アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞しています。幅広い年代の読者に愛されつづけている一冊です。

晶文社のWebサイトはこちら

次(6/15更新)は
法村里絵さんからの
ご紹介で鈴木恵さん
おすすめの本です。
お楽しみに!
PICK UP

通学講座説明会 体験レッスン 資料請求で全員にプレゼント

PAGE TOP