授業開始早々、受講生には赤字でビッシリと書き込みされた添削課題が返却される。課題文はコンピュータソフトのマニュアルの抜粋で、講師の吉田晋治先生がテキストとは別に独自に用意したもの。このクラスで初めての提出課題であるせいか、受講生たちは“宝の山”に違いないコメントにじっくり目を通している。
すべての課題が返却されると、全体的な講評へ。「『名前を付けて保存』のところ、画面に表示される用語ですので、“つけて”ではなく漢字で“付けて”とします」「“保存”と訳せるのは“save”だけ。“preserve”は“残す”です」など、吉田先生はコンピュータ翻訳での約束事をひとつひとつ確認していく。「意味が正しいか否か」だけを考えて訳してきた受講生には、ちょっとした驚きだったかもしれない。先生はさらにこう続ける。
最大のポイントは、課題文に添付された指示が守れているかどうかです。『である調で』と指定してあったのに、『です・ます調』がありました。これは重大なミスですよ」
今回オリジナル課題を課した裏には、実務の手順に早い時期から慣れてもらおうという吉田先生の狙いがあったようす。基礎クラスとはいえ、見据えるのはやはりプロの世界。そのための意識改革は、もう始まっているのだ。 |