カレッジコース
2017年2月15日 

田中千鶴香先生「IT・テクニカル」の授業を
のぞいてみました

第一線で活躍する翻訳者からIT・テクニカル分野の手法を学ぶ

「総合翻訳科カレッジコース」は、プロの翻訳者に求められる実践的な技術と専門知識を体系的なカリキュラムに沿って身につけていく全日制のコース。実務翻訳分野の選択科目には「IT・テクニカル」「メディカル」「特許」「契約書・ビジネス法務」「金融・財務」の五つがあり、今回体験した「IT・テクニカル」で扱う題材は、マニュアルやシステムUIといった技術寄りのものからIT企業のマーケティング文書やプレゼン資料まで実に多彩。実務翻訳の第一線で活躍する田中千鶴香先生の指導により、各文書の目的や対象読者に応じた幅広い表現力が身につくカリキュラムが特徴だ。


翻訳支援ツールを使ってマニュアル翻訳を疑似体験

この日は翻訳支援ツール「Trados」を使って、CADソフトのマニュアルの訳文を入力する演習授業。事前の課題としてソフトの概要や専門用語の調査が課されていた。「見出しは体言止めか常体、本文は敬体で」など、実際の仕事を意識したスタイルガイドも指定される。田中先生は基本操作の解説に加えて、「Tradosの入力画面は文単位で分かれているため、全体の文脈を見落としがちです。もとの原文ファイル全体も参照しましょう」と翻訳者としての注意点も伝授していく。


製品や技術を深く理解し実務レベルの訳文に導く

入力作業後、受講生の訳例を基にした解説が始まる。文中にはAutomatic Feature Recognition(自動フィーチャー認識)などの難解な言葉が多く登場するが、「これは要するにソフトの機能です」と先生が内容を整理していく。「今回は原文の意味を正しく理解できていなかった方が多かったようです。原文は精読しましょう」と、田中先生は原文を読み込む重要性を繰り返し説く。「Tradosを使った翻訳作業では、他の翻訳者が訳文を再利用することもあるので、リサイクル効率も考えましょう」と実務上のポイントも伝える。「文章構造は優しく見えて、実は奥が深いのがこの分野です。良い製品や技術を自分の翻訳を通して伝えられる醍醐味を味わえるようになってください」と田中先生は締めくくった。


【講師からのメッセージ】

時間をかけて泥臭く学び、
翻訳という仕事の意味をつかんでください


授業では小手先のテクニックではなく、基礎的なスキルをしっかり身につけてもらうことを重視しています。さまざまな調査方法を知り、英語と日本語の違いを綿密に読み解いていくことで翻訳の難しさと楽しさの両方に触れてもらいたいと思っています。それが翻訳という仕事の意味をつかむことにつながるはずです。
プロになると調べ物一つとっても長時間を費やすことができなくなりがちですが、この時期にじっくり翻訳に向きあうことは有効です。受講生の皆さんには時間をかけて泥臭く学んでほしいですね。

最新技術だけでなく
プロなら背景まで理解する


IT・テクニカル分野の授業では最新技術だけではなく、従来のスタンダードな技術も取り上げています。なぜなら最新技術には、3 〜 5年前の技術が必ずその背景にあるからです。それを知っておくことは、最新技術の深い理解につながります。日本の企業には、英語はできても翻訳ができる方はあまりいらっしゃいません。母語の文章で正しく伝達するというのは、それほど簡単ではないのです。翻訳のスキルを身につけることで翻訳業界だけではなく、ビジネスのさまざまな場面で活躍の幅を広げられるはずです。


『翻訳事典2018年度版』(アルク発行)
「編集部が体験!翻訳講座体験ルポ」より転載




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