フェロー・アカデミーは、実務・文芸・映像の3つのジャンルすべてが学べる翻訳の専門校。全日制から週1回コース、初級からプロレベルまで、ライフスタイルや実力に合わせて選べる多彩なカリキュラムが魅力だ。会員制組織<アメリア>による仕事獲得のサポートも充実しており、数多くの修了生がプロデビューを果たしている。

今回授業を見学した「映像基礎」では、映像翻訳に興味がある翻訳初心者を対象に、映像翻訳の世界に触れながら、特有のルールやテクニックをマスターする機会を提供している。


  海外の映画やドラマが好きな人なら、誰でも一度は「映像翻訳家」という職業に憧れたことがあるのでは?

  そんな夢や憧れの第一歩を踏み出したい人におすすめなのが、フェロー・アカデミーの通学講座「映像基礎」だ。授業では実際に映像翻訳の世界を体感しながら、吹替や字幕の映像翻訳特有のルールを習得する初級レベルの基礎講座だ。

  今回見学したクラスの講師は、大ヒット映画『チャーリーとチョコレート工場』の字幕を手がけた映像翻訳家の瀧ノ島ルナ先生。第一線で活躍する現役のプロの直接指導が受けられる、なんとも贅沢な講座だ。
  「映像基礎」は、週1回で半年間、全18回の講座だが、前半でひととおり吹替翻訳のノウハウを学んだあと、後半から字幕翻訳を学習する。教材は、前半、後半とも同じ作品を使用するので、吹替と字幕の違いを対比しながら体得できるだけでなく、英文解釈の面でも、いっそう理解が深まる仕組みだ。

  見学した授業は、後半の字幕翻訳に進んでいた。授業開始とともに、まず教材となっている映画の数シーンを全員で視聴。受講生にはあらかじめ『課題作品』の英文スクリプトが配付されている。授業とはいえ、実際の映画に自らの手で字幕をつけるのだから、いっぱしの映像翻訳家気分が味わえる。

  ビデオを見終わったあと、各自訳してきた字幕原稿のコピーを全員に配付。それぞれの字幕に対して瀧ノ島先生が講評を加えながら、クラス全体で確認していくスタイルで授業が進められた。


  字幕翻訳は非常に短い口語体であるため、「なんとなく私にもできそう」と誤解されがちだが、先生の講評を聞けば聞くほど、これほど奥が深い翻訳はないのでは?と思えてくる。

  まず字幕翻訳には、いくつもの厳しいルールがある。劇場公開映画の例を挙げると、英語のセリフ1秒に対して日本語訳は4文字まで、タテ字幕は1行10文字で2行まで、ヨコ字幕は1行12〜14文字で2行まで、などなど。正しい英文解釈をした上で、これらの字数制限内で、原文のニュアンスにぴったりの、かつ観客にとって読みやすい日本語をひねり出さなければならないのだから、至難の技だ。

  受講生がよく先生に指摘されていたのは、漢字の多用。日本語を短くするために、つい漢字を使いたくなる気持ちはわかるが、これも字幕に使用できるのは原則として常用漢字のみというルールがある。例えば、「鍵」は「カギ」、「お腹すいた」は「おなかすいた」としなければならず、この1文字の増減に頭を悩ませることもしばしばだ。

  100分間の授業で、字幕の難しさとともに、奥深さとおもしろさをたっぷりと体感。「映像基礎」で映像翻訳の基本を学んだあと、学習を続けたい人には、修了後、「映像実践」、「ゼミクラス」への進級、そしてプロへの道が開けている。瀧ノ島先生も、かつてフェローで学び、プロになったひとりだ。
映像翻訳科「映像基礎」講師
瀧ノ島ルナ先生
PROFILE:
映像翻訳家。フェロー・アカデミーで映像翻訳を学ぶ。映画『チャーリーとチョコレート工場』(字幕)、NHKの番組などの翻訳を数多く手がける。
  「映像基礎」で求められているのは、まず吹替や字幕のルールを覚えることです。同じ作品でもそれぞれの手法でセリフの訳が違ってきます。字幕なら字数制限や漢字の使い方、それから句読点が打てないので半角や全角のスペースを空けて文章を整理すること、など。大事なのは、ルールに沿って、読みやすい字幕をつくることです。吹替なら聞きやすさがポイントです。

  教材には映画のオリジナル版を使っていますが、はじめに受講生に「なるべく教材の日本語版ビデオやDVDを観ないでくださいね」と言っています。どうしても頭の中に残ってしまいますからね。できるだけ白紙の状態で、自分の言葉で吹替や字幕をつくっていただくほうが勉強になると思います。

  「映像基礎」は、プロをめざす方はもちろん、映画やドラマが好きな方には、映像翻訳の舞台裏がどうなっているのか、のぞいてみるようなつもりで学習するのもおすすめです。
  講座の最後には字幕翻訳支援ソフトを使って、自分の字幕を映像に乗せる体験もしていただく予定ですので、より楽しんでいただけると思います。
最近の映像翻訳の仕事では、パソコン上で字幕制作ソフトを使って訳文を作成・納品するケースが増えている。このような現状を意識して、フェローの「映像基礎」では字幕制作ソフトのCD-ROMを教材として受講生に配布。パソコン上で課題部分の映像を見ながら字幕を作成し、それを映像に投影することができる。
自分の作った台詞が画面にマッチしたものかを確かめられるので効果的な学習がはかれるうえ、実際の仕事の作業工程も体感できる有意義な教材だ。