トラマガ
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 【前編】 【後編】
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(2011年9月9日更新)
英語力を生かしてできる仕事として、翻訳を始めたのは大学生の頃。アルバイトから、翻訳会社の正社員、フリーランスへと、働き方を人生のステージに合わせて変えてきた高橋氏にIT翻訳の業界のいまと未来についてお話しいただきました。
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高橋 聡>(たかはし あきら)

★2年前に骨折してから中断しているが、実は山歩きが趣味。なんとか再開したいと願っている。
★人にはあまり話したことがない隠れ趣味(?)としては、CG以前の特撮映画を観ること。
★仕事のスケジュールはいつもめちゃくちゃ。最近は夜7時くらいに寝て夜中に起き、それからずっとパソコンの前に座っているというパターン。
★趣味というか特技というか、オフになると家中の掃除をする。いつもは仕事があるからある程度のところで我慢しているので、時間ができたら徹底的に掃除をする。
★ストレスはたまらない。というか、常に発散している。パソコンに向かっているときに発する雄叫び! 家族はもう慣れっこだとか。

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――翻訳をするようになったきっかけは?
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 翻訳は、大学生の頃アルバイトで始めたのが最初です。専攻が英語だったので、コンピュータ業界にいた友人から頼まれてIT系の翻訳をしていました。最初の仕事は輸入物のゲーム翻訳でしたが、その後コンピュータのプログラミングやソフトウエアのマニュアルなどの翻訳もするようになりました。当時はまだWindows 95の前でしたが、コンピュータ言語をかじって自分でプログラムを書いて遊ぶのが流行った時代で、私も多少は経験がありました。だからIT系の翻訳はわりと抵抗なくできる分野でした。
 学生時代はもうひとつ、塾の講師のアルバイトもしていました。社会人として最初に就いた仕事は出版プロダクションでの辞書の編集でしたが、人に教えることは性に合っていたので、その後転職して本格的に塾の講師を始めました。結局、塾には11年間勤めました。実はその間も学生時代から引き続き、空いた時間を使ってIT系や環境法の翻訳、出版翻訳も少し手がけていました

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――その後、翻訳会社に転職したとのことですが、それはなぜ?
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 塾では正社員でしたが、少子化の影響で塾の将来性に不安を感じるようになり、私も30代後半だったので転職するなら最後のチャンスだと思い、翻訳会社に転職する決心をしました。翻訳会社に転職したのは、やはり空いた時間でずっとIT系の翻訳をしていたためです。そのとき、もし自分が独り身だったらフリーランスになることも考えたかもしれませんが、妻も子どももいましたし、それに10年以上やっていたとはいえ翻訳はやはり副業でしかなかったので、いきなりフリーになるのは無理だろうと、まずは会社員として翻訳に関わりたいと考えたんです。
 多少は知識があったITローカライズに的を絞って求人広告をあたりました。1990年代の中盤でIT業界はまだ羽振りのいい時代だったので、転職はそう難しくはありませんでした。実務翻訳全般を請け負っている翻訳会社のローカライズ部門に転職することができました。仕事としてはローカライズの翻訳と品質管理です。結局、その会社には10年間近く勤めました。

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――その後、フリーランスの翻訳者に転向されたとのことですが、そのきっかけは?
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 会社の居心地がよかったので、フリーランスになるつもりはまったくなかったんです。ところが社内の健康診断で大きな病気が見つかってしまって……。手術後、会社に復帰するつもりでいたのですが、通院治療などでなかなか復帰できず、そのうちに会社のほうからフリーランスでやってみないかと言われました。元社員で現在フリーランスで仕事をしている翻訳者が何人かいることは知っていましたので、この状況ならフリーランスになってもやっていけるかなと思い、その言葉に従うことにしました。身体のことを考えても、通勤せずに働けることは理想的でしたから。2007年からフリーランスとして仕事をしています。

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――フリーランスになってからは、どのように仕事を広げていきましたか?
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 勤めていた会社から仕事をもらえることになっていましたが、フリーランスという身ですからそれだけに頼るわけにもいきません。会社を辞めた時点で2社のトライアルを受けました。実は、会社にいる間にトライアルの出題・採点にも関わっていたので、トライアルにどう取り組めばいいかの勘所はわかっているつもりでした。手応えもありましたし、両方に合格できたので、それでトライアルを受けるのはひとまずやめて、しばらくはこの3社から仕事を受けていました。
 ただ、その後はさらにトライアルを受けて、登録する翻訳会社の数を増やしました。分野はITが中心ですが、技術翻訳全般に広げて受けるようにしています

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――技術翻訳全般に広げてトライアルを受けるようになったのは、なぜですか?
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 ITバブルが弾けたのが2001年頃。その後も仕事は途切れはしませんでしたが、特にIT分野では機械翻訳が導入されそうだという気配もあり、ゆくゆくは狭義でのIT翻訳のマーケットは減っていくだろうと感じていました。
 ひとくちにITといっても幅広いんです。皆さんが最も想像しやすいところでは、パソコンにインストールして使うソフトウエアやその使い方を記したマニュアル、そういうものの翻訳でしょう。ですが実際にはそれだけではなく、例えば工作機械や計測機械を動かすためのソフトウェアや、それらの取り扱い方法を説明したマニュアルなどもあります。そうなると、内容はかなりコンピュータから離れてきます。工作機械ならドリルの動きがどうとか、そういう内容ですね。前者のいわゆる狭義でのITだけを専門にしていたのでは、将来的には仕事が減るかもしれないと危機感を覚え、後者のような広義のITの知識を増やして、幅広く対応できるようにしていこうと考えたのです。

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――確かに、景気が悪くなり、さらに厳しい状況は続いていますよね。
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 翻訳単価を見れば、その厳しさがよくわかると思います。1990年代、ITバブルの頃は非常によく、1ワード20円や30円という時代もありました。しかし、その後は下がる一方です。今では当時の半分くらいじゃないでしょうか。これにはいくつか要因があります。ITバブルの崩壊、リーマンショックで世界的に景気が低迷してきたことはもちろんですが、それに加えて中国や韓国などの翻訳会社も低い単価で英日翻訳を受けるようになり、競争がますます激しくなってきているという事情もあります。
 フリーランス翻訳者も当然その影響を受けます。ですが、私自身は幸いなことに、年間トータルでは、それほど収入は減っていません。トライアルを受けて取引先の翻訳会社を増やし、分野の幅を広げて仕事を受けられるように努力して、何とか一定の水準を保っています。

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――最近は機械翻訳が絡んだ依頼もあると聞きましたが。
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 そうですね。IT業界では、クライアント側が機械翻訳を導入して何とかコストを下げられないかという試行錯誤が続いています。その場合、翻訳者には"ポストエディット"といって完璧ではない機械翻訳の訳文を修正する仕事がまわってきます。私のところにも、「試しにやってみたのだが、今後導入できそうかどうかレポートしてほしい」という依頼が何件かありました。
 機械翻訳にもいくつか種類があり、また精度も違うので、一概には言えませんが、何年か後には単純なドキュメントの翻訳が機械翻訳に取って代わられるのは避けられないことでしょうね。しかし、ITの中でも、Webページのコンテンツ、営業向けの販促資料、技術資料、ホワイトペーパーなどは、まだまだ機械翻訳には無理でしょうから、今後も需要はあると思います。そうしたことを見極めて、翻訳力を磨いておく必要があると思います。


後半では、仕事の効率化や専門知識を広げる方法についてお話しいただきます。

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