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 【前編】 【後編】
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今号は、総合翻訳科カレッジコースで「TOEICトレーニング」の科目を担当している松村哲哉氏のインタビューをお届けします。翻訳家を目指し百貨店の早期退職後にカレッジコースに通った松村氏。インタビュー当時はまだ訳書も少なかったそうですが、今では目標であった出版翻訳家としてご活躍されています。

松村 哲哉>(まつむら・てつや)

★大学生の頃、アガサ・クリスティや、ガードナーのペリー・メイソンシリーズをペーパーバックで読んでいた。
★所有CD3000枚。退職後、多いときは月10回くらいコンサートに行って家内に怒られました(笑)。現在は自粛気味。音楽は聴くのが専門で、楽器を弾くことはいっさいない。
★クラシック音楽の中ではオペラが一番好き。オペラの中ではヴェルディの「ドンカルロ」が最高。
★クラシックが好きになったきっかけは、中学一年のときに聴いた『ウィリアムテル序曲』の「嵐」の部分と、メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲。特に後者の旋律が耳から離れなくなった。
★音楽以外の趣味は山歩き。ただ、10年くらい前から花粉症になってしまったため、秋しか山に行けない。

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――死ぬまで働きたい
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 5〜6年前、勤務先の百貨店の社員食堂で食事をしていた時だったと思います。急に「死ぬまで働きたい」と思ったんです(笑)。定年退職をして、金銭的にも余裕があり、周りから見れば悠々自適な老後をおくっている方々でさえ、その様子を見ていると必ずしも楽しい日々を過ごしているわけではない、ということがだんだんわかってきた時期でもあったんですね。仕事をしているときは、今まで忙しくてできなかったことをあれもしようこれもしよう、と意気込んでいたにも関わらず、趣味だけでは老後はもたない、と突然実感したんです。
 
 早期退職を選んだのは、60歳になってから辞めたのでは新しい仕事を始めるのは無理だろうと思ったからです。翻訳家ではありませんが、定年後に別な仕事を始めて、そこそこ活躍はしているけどお金を稼ぐところまではいたっていないという方の話も新聞に載っていましたし。やっぱり遊びやボランティアではなく、お金をもらって仕事をしないと、自分にプレッシャーがかかりませんからね。ある程度緊張感のある生活をしていて、そのプレッシャーからふっと解放されたときにクラシック音楽を聴くのが、僕にとって至福の時なんです。
 
 それで、いざ会社を辞めて自分に何ができるかを考えましたが、すぐにできることが何も思いつきませんでした。多少英語には自信がありましたが、実力を証明するものがなかったので、とりあえずTOEICを受けたところ思いのほか高得点が取れて、調子に乗っちゃったんです(笑)。それで英語力を活かせる仕事、そしてある程度歳を取っても続けられる仕事として「翻訳」を思いつき、通信講座を受講することにしました。仕事が終わって家に帰ると眠くなるので、外で軽く食事をして、喫茶店で2時間くらい課題に取り組むという生活を一年半ほど続けました。自分にしては珍しく続けられたので、これなら実力はともかく嫌にはならないかなと。
 そこへちょうど早期退職の募集があり、社内報を見た途端にこれは「天の声」だと思い、1秒もかからずに決断しました。

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――全日制で生活のペースを保つ
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 早期退職を決めたとき、とてもお世話になった元上司に挨拶に行きました。そこで、初めて奥様がフェローの前身で講師をやっていらしたということを聞きました。実はそれまでフェローのことは何も知らなかったのですが、調べたら全日制のコースもあるし、家内にも、生活のペースを乱さないためにも毎日通えるところに行ったほうがいいんじゃないかと言われ、4月に総合翻訳科「カレッジコース」に入学しました。
 履修方法によっては週4日通えばいいカリキュラムも組めたのですが、規則正しい生活をするために敢えて週5日にして、朝10時くらいから夕方の5時くらいまでずっとフェローのある翻訳会館にこもり、授業のないときはパソコンルームで学習するという生活を続けました。カレッジコースに通っていた一年間は生活にリズムができ、今までにないくらい英語の勉強をして、非常に充実した期間でした。
 クラスでは私が最年長で、周りには20代、30代の女性が多かったですが、幸か不幸か百貨店って、職場の同僚が若い女性ばかりなので、違和感は全くありませんでした(笑)。

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――カレッジコースで学んだこと
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 仕事の需要のうち9割以上が実務翻訳というのはわかっていたのですが、出版関係の翻訳になんとか食い込めたらいいな、という思いがありましたので、カレッジコースでは実務翻訳関連の講座以外に、文芸翻訳や児童文芸といった科目も取りました。
 今年仕事を始めて実感したことですが、仕事ではスピードが要求されます。児童文芸の講座は20ページくらいの宿題がどんと出るので、早く訳す練習になりました。夏休みに原書を読んで企画書を書くというリーディングの宿題も、あとですごく役に立ちました。
 また、翻訳では英語の解釈力が1/3、日本語の表現力が1/3、そして入学当時は想像もつきませんでしたが、調査能力が1/3だということを、どのジャンルの先生もおっしゃっていました。それと、良い意味での「こだわり」ですね。とくに日本語の表現に対するこだわりは、とても大事だということを強く感じました。

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