木阪正雄さん
20歳のときにサーフィンを始め、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランドに長期滞在。帰国後、営業職を経て翻訳学習を始める。2017年7月「ベーシック3コース」修了。同年10月にトライアルに合格し、現在は主にプロレス番組の字幕を手がけている。
駆け出し映像翻訳者、木阪正雄さんのもう1つの顔はサーファー。かつては絶好のサーフスポットを求めて海外に飛び、ニュージーランドには1年も滞在した。そんな放浪めいた生活の中で身につけた英語が、翻訳の道に進むきっかけになったという。
結婚を機に国内に根を下ろし、営業職に就いていたときのこと。ふと世界中のサーファーと英語でコミュニケーションをとっていた自分を思い出した。仲間ができたのは、見よう見まねで英語を覚えたおかげ。語学力は決してムダにならない―
そう考えた木阪さんは、仕事をやめて1年間、英語の勉強に専念。英検1級を取得したが飽き足らず、もっと深く学ぶために「翻訳」を選んだ。
「翻訳だったら働く場所を選ばないので、海外でサーフィンをしながらでも仕事ができますよね(笑)。『これしかない!』という感じで、いろんなジャンルの翻訳を一気に学べるベーシック3コースを受講しました」
修了後にトライアル合格 仕事がとにかく楽しい
授業は発見の連続だった。日本語の表現力が問われる出版は難しい。簡潔な文章が求められる実務は取り組みやすく、評価も上々。そして映像は、予想外に楽しい。
「字幕は字数制限があるから難しいんですが、だから逆におもしろかった。田中武人先生が『一緒にやっていこう』という姿勢で指導してくださり、モチベーションを引き上げてくれたのも良かったですね」
授業で映像翻訳の仕事が急増していることを知り、また教務スタッフとの面談で「木阪さんは映像向き」と勧められ、映像翻訳を目指すことに。コース修了から3カ月後の2017年10 月、以前に学校で紹介された制作会社のトライアルを受けたところ、合格することができた。
「めちゃくちゃ嬉しかったです(笑)。仕事はプロレス番組の字幕。昨年末からコンスタントに仕事を頂くようになり、学んだことを総動員して訳しています。まだ学ばせてもらっている感覚ですが、とにかく楽しいです」
ベーシック3コースについて、「翻訳にどっぷり浸かって勉強に専念すればするほど、得るものが大きいし、進路も明確になる」と木阪さん。「いずれはサーフィン関係の映画や動画に、サーファーが満足できる字幕を付けたい」と、仕事と趣味が融合する日を待ち望んでいる。
通訳・翻訳ジャーナル2018年秋号(イカロス出版)より転載
(text:金田 修宏 photo:合田 昌史)
ベーシック3コース(オンライン)