小倉郁子さん

大学では演劇を専攻し、在学中に1年間のアメリカ留学を経験。長年にわたりPR関係の編集に従事し、2015年にベーシック3コースを受講。現在はフリーランスとして、特許やビジネス関連の翻訳・ポストエディットを行っている。

修了生インタビュー

出版と映像を学んだ経験は実務翻訳にも必ず活きると思います

「日本語も大事」と聞いて不安が消えた
PR関係の編集の仕事をやめて翻訳をやろうと思ったのには、2つ理由があります。息子2人が難しい年頃になり、家でできる仕事に切り替えたかったことが1つ。もう1つは、大学時代の留学仲間たちに触発されたためです。みな留学経験を活かした仕事をしており、「私も語学に関わる仕事でお金を稼いでみたい」と思ったのです。
翻訳をしている留学仲間がフェロー出身であることを知り、お墨付きを得た気分でフェローに通うことにしました。ベーシック3コースを選んだのは「週3日・3カ月」という短期集中のカリキュラムに惹かれてのこと。実務・出版・映像をもれなく学べる点については、あまり意識しませんでした。夢を追いかける年齢でもないですし(笑)、前職時代はメーカーさんとのお付き合いが多かったので、漠然と「仕事にするなら実務翻訳だろう」とだけ考えていました。
英語からは久しく遠ざかったので、初日は不安でいっぱい。その気持ちをほぐしてくださったのが、「実務基礎」の豊田憲子先生です。最初の授業で「翻訳は英語ができればできるというものではない」とおっしゃられたのを聞き、安堵したのを覚えています。他の授業でも、先生方が同じように「英語だけでなく日本語も大事」とおっしゃるので、「私でもやれるかも」と初めて前向きになることができました。

「楽しい」がもらたした皆勤賞と成績優秀賞
実際に3分野すべてを学んでみると、どれも楽しかったですね。社会人として年齢を重ねたことによって、私はすっかり「現実主義者」になっていましたが、元はといえば子どものころから海外の本を読むのが大好きで、大学時代は演劇を専攻した人間です。出版の授業に出たことで「本の翻訳に携われたら」とフワっとした夢を思い描き、映像のクラスで吹替の納品形態が「台本」だということを知った瞬間、心はときめきました。
1日2コマの授業に週3回出続けるのは、正直きつかったです。でもどの科目も面白いから、すべての課題に全力で取り組んでしまう。精神的に疲れたときにはカウンセリングを受け、事務局の方に心を癒していただきました(笑)。
一度も休まず、すべての課題を提出したので、皆勤賞をもらえたのは嬉しかったですね。でも、成績優秀賞に選ばれたのにはびっくり。自分ではどこが成長できているのかわからないので、複数の先生に「あなたならどの分野に進んでも大丈夫、これからも頑張って」と言っていただけたことは大きな励みになりました。この歳になって「先生」と呼べる方7人と出会うことができ、本当にありがたく思っています。

翻訳やポストエディットを受注
修了後、アメリアで見つけたトライアルに合格し、現在は2社から仕事を頂いています。1社はビジネス系の翻訳会社で、社内資料やマニュアルのレビューなどを受注。もう1社は特許専門で、機械翻訳された抄録を日本語として整えるポストエディットをお引き受けしています。1社はオンライン、1社は翻訳メモリなどのツールを使います。「Trados講習」で支援ツールの基本的な使い方を一通り学んだので、ツールでの仕事を初めて受注したときも乗り切れました。
ビジネス系の仕事では、引き受けた案件がプロジェクトのどの段階で発生し、どういう目的で使われるのか、背景を説明してほしいことがあります。そんなとき、もし豊田先生に「クライアントに対して言うべきことは言う、疑問点は確認する」と教わっていなかったら、ためらっていたかもしれません。
迷ったりわからなくなったりしたら、先生の言葉を思い起こし、ノートやテキストを見直しています。ときには自信がなくて、泣きそうになることも。そんなときは通知表を開き、ある先生が書いてくださった「あなたなら即戦力になれる」というひと言を噛みしめ、「自信を持って!」と自分を鼓舞しています。

心に刻まれた7人の講師の言葉
目指す分野が決まっている人でも、ほかの分野を覗いてみるときっと得るものがあると思います。例えば「言葉」というものは奥が深く、文芸作品や映像作品を通して日本語を考える経験は、実務翻訳にも何か寄与するものがあるはずです。
私自身、3分野の異なるアプローチを学んだことで、とてもいい刺激を受けました。出版の先生は編集者的な目で文章表現を指導してくださり、実務の先生は厳しい競争の中で生き抜くための「プロの心構え」を説いてくださり、映像の先生はじっくり基礎を固めることが長く仕事を続けるコツだと教えてくれました。そうした先生方の言葉はすべて、私の心に等しく刻まれています。
何の知識も持たずに勉強を始めた私でも、翻訳という仕事を広い視野でとらえることができるようになりました。もし時間が許すなら、多少無理をしてでも、自分がこれと決めた以外の分野も覗き見てみると良いと思いますね。

小倉郁子さんが受講した講座(通学)

ベーシック3コース

実務翻訳 出版翻訳 映像翻訳
開講日
年3回(1月、4月、9月)
期間
週3日・3ヶ月
  • 実務翻訳
  • 出版翻訳
  • 映像翻訳

中級吹替

映像翻訳
期間
2019/4/20~2019/8/31(土曜・隔週×9回)
  • 映像翻訳