鈴木千恵子さん
前職では企業向けソフトウェアベンダーに勤務。「総合翻訳科ベーシック3コース」修了後すぐに、アメリアに寄せられていたIT翻訳の求人に応募し、トライアルに合格。現在、前職の知識を活かせる「IT・テクニカル」と、コース受講中に興味を持った「字幕」の2つの講座で学習を続けている。
当時勤めていたITベンチャーでの仕事にやりがいはありましたが、ハードワークだったため、この先年齢を重ねても続けていけるかどうか不安を持っていました。また、将来的には東京を離れて地元に帰りたい、定年のない仕事をしたいという希望を持っていたため、そのような条件に合う職種として翻訳者を目指すことにしました。
当初は独学で勉強していましたが、15年以上英語を使っていなかったこともあり、思ったように学習の成果が現れませんでした。そこで翻訳学校に通うことを考え始めました。私の条件としては、平日昼間通えること、短期集中であること、学習環境が良いことでした。それに合致したのがフェロー・アカデミーです。また、分野に関して自分の向き不向きがわからなかったため、3分野を学べる「総合翻訳科ベーシック3コース」があるのも決め手の一つとなりました。
ベーシック3コースで学んだ感想は、シンプルですが「とても役に立った」「楽しかった」。それぞれの翻訳分野でのルールや作法をたくさん教えていただけました。また、かつての大学での勉強はインプットを重ねていくものでしたが、ベーシック3コースでの授業はアウトプット中心であり、実践的でした。実際の仕事では、自分の頭の中にあることではなく、アウトプットしたものが評価されます。そのような観点から考えても翻訳学校での学習は非常に有効だったと思います。
入学前に自分が向いているだろうと思っていた分野と、先生を含めた周囲からの評価が良かった分野が違うということも良い発見でした。また、毎日訳文を書いて授業を受けるということを繰り返しているうちに、分野を問わず、訳文の初めのパラグラフあたりに誤訳やケアレスミスが発生しやすいという傾向に気づきました。このような自分の行動習慣を含めた弱点がわかったのも収穫です。
クラスメイトは20代前半から50代前半まで幅広く、経験してきた仕事もバラバラで、普通に過ごしていたら接点がなさそうなメンバーでした(笑)。人生経験もさまざまなので、仕事に対する考え方や日常的なものの考え方でも刺激を受けました。
4月中旬にコースを修了する予定だったので、翻訳者ネットワーク「アメリア」で3月の末から求人をチェックし始めました。未経験者可で、前職の経験が生かせるIT翻訳の求人を中心に探し、3社の求人に応募。各社とも書類審査のあと、トライアルを受けるという流れでした。トライアルの内容は各社ごとに異なりますが、IT分野であるため、ソフトウエアのマニュアルやホワイトペーパーなどの翻訳が中心です。Tradosを使用したトライアルもありました。また、チェッカー(※)のトライアルも受けました。内容は誤りを含む訳文を、正しく修正するというものでした。
3社のうち2社のトライアルに合格し、仕事を受注するようになりました。
(※)翻訳会社内のポジションの一つで、翻訳者から納品された翻訳物のチェック業務を行う。クライアンから指定された訳語を正しく使っているか、誤字・脱字がないかなどをチェックする。在宅で行う場合もある。
翻訳とは、英文をただ日本語に置き換えるのではなく、文書の種類によってどういった日本語を使うとわかりやすいか、読み手が理解しやすいかを考えて表現することだとベーシック3コースの中では学習してきました。トライアルでは、学習した成果を充分に発揮できたと思います。また、特別講座に「Trados基本操作講習」があるのですが、Tradosを使ったことがある、というのも大きかったです。それに加えて前職で経験したことをアピールできたことも合格の要因だと考えています。
よく「専門知識もなにもないし……」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、仕事でも趣味でも皆さん何かしら身近な分野というものはあるはずです。その業界の言葉を知っているということは、翻訳において大きなアドバンテージになるので、前職や学生時代の専攻などプロフィールに必ず書くことをおすすめします。
翻訳者としての私はまだ駆け出しにすぎません。2020年の東京オリンピックまでには「翻訳者です」と胸を張って言えるようになりたいと思っています。
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