田中久美子さん
好きな英語を活かせる、育児と両立できる仕事として翻訳を選び、総合翻訳科「ベーシック3コース」で学習を始める。コース修了後は単科 中級「ドキュメンタリー」で学習を続けながら就職活動も行い、旅行記事翻訳のトライアルに合格。その後自動車部品メーカーの社内翻訳者に採用され、現在は主に品質保証関連の資料や報告書を翻訳している。
学生の頃から英語はずっと好きでした。大学時代に留学したアメリカでの経験が、自分の英語の基礎になっていると思います。卒業後帰国し、その後英語とはあまり縁のない仕事を8年ほどしていましたが、結婚出産を機に退職。時間の使い方に対する考え方が自分中心から子供中心に大きく変わりました。時間がコントロールできて子供との時間をしっかり作れる、好きな英語のスキルアップができる、そんな仕事がないかと調べた結果、翻訳の仕事に行きつきました。
ベーシック3を選んだ理由は、3カ月で翻訳の基礎を集中的に学べたからです。私の場合、年齢的にもあまりのんびりしていられなかったので、集中的に学んで、早く就職活動を始めたいと思っていました。
ベーシック3コースの内容はとても充実していて、出版、映像、実務の3分野すべて学べたことは、翻訳者の道を歩き始めるうえで、とても貴重な経験だったと思います。私は、実務を第一希望にしていたのですが、「実務基礎」の成績ははじめのうちとても悪く、逆に自分には不向きだろうと思っていた「フィクション」で良い評価をもらい、とても驚いたのを覚えています。自分の適性をプロの先生方に客観的に見てもらえることも、ベーシック3コースのいいところだと思います。
講師は全員プロの翻訳者なので、授業内容はとても実践的です。「実務基礎」と「実務演習」では、先生の言ったことを一つも逃すものか!という心構えでノートをとりました。そのノートは今、職場の引き出しに入れてあり、迷った時に道を指し示してくれる大事な教科書になっています。「映像吹替」の授業では、実際の仕事で訳文に送付する「申し送り」の書き方も教わります。このように書けば、クライアントとの信頼関係を築けるといった、すぐに実践で使えるテクニックも学ぶことができます。
コースを受講して、自分の適性を講師に客観的に判断してもらったり、興味がなかった分野を勉強してみて、意外な面白さを見つけたりといった、新しい発見をたくさんしました。そんな理由から、3カ月の講座を修了しても、自分の進む道を実務と映像から1つだけを選ぶことができず、単科の中級「ドキュメンタリー」と、自宅での実務翻訳の勉強とトライアルを同時進行で続けていました。勉強を続けながら、旅行記事翻訳のトライアルに合格したのですが、なかなかすぐには仕事が回って来ず、仕事の依頼を待ちながら他の求人を探す日々が続きました。その時に、インターネットで近所にある自動車会社が社内翻訳者を募集している記事を見つけました。子供の幼稚園の時間があるので、オンサイトは時間的に難しいだろうと、今まで応募を諦めていたのですが、その仕事は9:00~16:00勤務で、さらに自宅から近距離で幼稚園のお迎えに間に合う条件だったため、「これならいける!」とすぐに申し込みました。
現在は派遣社員として、自動車部品製造会社の品質管理統括部で、品質保証関連の資料を翻訳しています。今の部署は海外にある12カ所の工場を統括しているところで、私が行っている主な業務は、製品の不具合が出た時の報告書やそれをまとめた週報を毎週日本語から英語に翻訳することです。「車のリコール」と言えば一般的にイメージがつくかと思いますが、リコールとまでいかなくても、製品の小さな不具合は日々起こっています。その対応として、不良品を回収したり、代替部品を調達したりといった内容の報告書が12拠点から入ってきます。本社から赴任している役職者が報告を作成するため、言語は日本語で書かれていて、それを統括部で一つの週報にまとめ、その後私が英語にしたものをまた海外に発信する流れです。
それ以外に、月に数回ある会議の議事録の翻訳、海外工場の社員教育や研修会で使われる資料の翻訳なども行います。
ベーシック3コースで学んだ「実務基礎」のテキスト『BETA』の問題文で学習した工業用語が、実際の業務でたくさん出てくるので、学んだことが大いに今の仕事に役立っていることは間違いありません。実際に、『BETA』と授業でとったノートは職場の机に置いていて、常に見直しています。
私の自動車産業についての知識は皆無に等しかったので、今の仕事を始めてからは、覚えることが山盛りで毎日が勉強の日々です。今の私の目標は、何年かかるか分かりませんが、現在会社が扱っている製品の部品名を全部把握できるようになることです。いつか工業英検にも挑戦したいと思っています。
ベーシック3コース(オンライン)