矢代淳一さん
1976年生まれ。日本の大学院修了後(応用物理学専攻)、カナダのDouglas Collegeで環境学を学ぶ。2014年10月にフェロー・アカデミーに入学し、単科「IT・テクニカル」を経て「IT・テクニカルゼミ」に在籍。現在、会社員をしながらフリーランス翻訳者として稼働中。
1976年生まれ。日本の大学院修了後(応用物理学専攻)、カナダのDouglas Collegeで環境学を学ぶ。2014年10月にフェロー・アカデミーに入学し、単科「IT・テクニカル」を経て「IT・テクニカルゼミ」に在籍。現在、会社員をしながらフリーランス翻訳者として稼働中。
病気による長期休職をきっかけに、「無理をせず、自分のペースでできる仕事」を模索するようになった矢代さん。雑誌でフリーランス翻訳者のライフスタイルを知り、魅力を感じると、翻訳の独学を始めた。数年後には翻訳会社2社に登録したが、仕事が来るのは年に数えるほど。他社のトライアルにも合格できず、焦りが生じ、ついに翻訳スクールに通う決心をした。
「フェローを選んだのは、翻訳に特化した歴史ある学校だったから。私は理系ですが、やりたい分野が決まっていなかったので、比較的幅広く学べそうな『IT・テクニカル』を受けることにしました」
授業内容はあらゆる点で実践的。テクニカルタームの訳し方、リサーチに使えるウェブサイト、文法、辞書の読み方、翻訳者としての作法など、多方面にわたって学んだ。またクラスメートや講師の多様な訳にふれ、「正解が1つではない奥深さに、翻訳のおもしろさを感じるようになった」そうだ。
講師の紹介により翻訳会社の登録翻訳者に
講師の高橋聡先生について、「熱意が伝わってきます」と矢代さん。プリンタのマニュアルが課題だったときには実際の部品に似たボール紙の筒を使って解説してくれ、記述内容を具体的にイメージして訳すことの大切さを知った。また「手厳しくも愛情ある指導」により、難のあった日本語がかなり改善されたという。
「誤用が減ったのは先生のおかげです。つねにニュアンスにまで気を配る先生の姿勢は素晴らしいですね。『言葉を選ぶときは、その言葉がもつイメージがプラスなのかマイナスなのかを考えなさい』というアドバイスは特に印象に残っています」
『IT・テクニカルゼミ』へ進級した今年4月には、先生の紹介で翻訳会社のトライアルに挑戦。合格して登録翻訳者となった。現在はアンケートや社内向け資料などの翻訳やレビューを受注しており、「教わったノウハウを生かし、自信を持って翻訳しています」と手応え十分。クラスメートたちと月1回の勉強会も開き、授業以外の場でも研鑽を積んでいる。
「良き先生とモチベーションの高い仲間と出会えたので、この縁を大事にしたいですね。環境分野に興味がありますが、まずは自分の課題点を1つずつクリアしていこうと考えています」
『通訳翻訳ジャーナル AUTUMN 2015』(イカロス出版発行)より転載
(Text 金田修宏 Photo 岩田伸久)