トラマガ
トラマガ
トラマガ
トラマガ
トラマガ
 【前編】 【後編】
トラマガ
トラマガ
(2012年2月24日更新)
前号に引き続き、西村多寿子氏のインタビューをお届けします。医療の分野で様々な経験をされてきた西村氏に、メディカル翻訳者を目指す人への学習アドバイス、そして今後の目標についてお話をお伺いしました。
トラマガ
トラマガ
――メディカル翻訳者を目指すには、医学系のバックグラウンドがないと難しいですか?
トラマガ

 そんなことはありません。現在、通信講座通学講座の両方を担当していますが、さまざまなタイプの受講生がいます。年齢でいえば、22歳の医学生から70代の方まで。医学系の大学出身者や医薬関係の仕事実績がある方はもちろん、文系出身の方、理系だけれども医学とは関係ない分野を学んだ方も少なくありません。翻訳者として仕事ができるレベルに達する方は医学系出身者が多いかといえば、そうとも限りません。私のこれまでの経験上、英語力が高いのはむしろ文系出身者のほうで、そういう方がしっかり論文を読み込めるようになれば、かなり良い翻訳ができるようになります。
 医学系の素地のない方の場合は、最初に基礎を勉強することが大事ですね。専門書でなくてもかまいません。看護学生向けのテキストなどで、病態生理や解剖学を学び、それから論文や抄録を訳す場合は、統計学の基礎知識を得ておくとよいでしょう。

トラマガ
――通学講座ではグループディスカッションを取り入れているそうですね。その目的は?
トラマガ

 在宅翻訳者は、翻訳者であると同時にチェッカーでもあるべきだと私は考えています。自分が書いた訳文を、納品する前にもう一度読み返して赤入れできる力があれば、さらにレベルアップした、ミスのない優れた訳文を提出できるからです。そこで、学習の段階で自分で添削できるスキルを身に付けてもらうために、受講生同士の添削を中心にグループディスカッションを取り入れて授業を進めています。
 グループに分かれて、お互いに訳文を見せ合い、意見交換をしてもらいます。それを発表し、グループ内の話し合いで解決できなかった点は私が解説します。また間違えやすいパターンや、訳文の改善点なども指摘します。最初のうちは自分の訳文を人に見せることに抵抗があり、恥ずかしいと思うようですが、慣れてくると人に見てほしい、意見を言ってほしいと思うように変わっていくようです。また、講師の訳例を最初に見てしまうと、それが正解だと思ってしまいます。でも実際には、受け入れられる和訳にはかなり幅があります。人の訳文をたくさん見ることで、訳し方は一通りではないということを実感してほしいのです
 通信講座ではディスカッションは無理なので、それに代わるものとして、講師の訳例といっしょに優秀な方の訳文を配るようにしています。

トラマガ
――それでは、通信講座で学ぶ方へのアドバイスはありますか?
トラマガ

 通信講座のマスターコース「メディカル」では、6カ月のカリキュラムの中で2本の論文を課題として取り上げています。実際に訳文を提出していただくのは論文の一部分のみですが、大事なのは論文全体をしっかりと読解してから取り組むことです。論文は基本的に、イントロ・方法・結果、そしてディスカッションという構成になっています。論文を通して読むことで、全体の構成を理解することが重要です。その中には多くの図表が含まれていますが、これら図表で示されているデータを読めるか読めないかが、論文の理解度を大きく左右します。
 私の場合、実際の仕事としては論文の全訳は少なく、抄訳の方が多いのですが、論文全体を読む力があるかどうかによって、訳文の出来も違ってきます。これまでの受講生の中でも、文系出身の方でしたが6カ月間しっかり取り組んだことで、かなり上達した方がいらっしゃいました。学習段階で論文をきちんと読み込む力をつけてほしいと思います。

トラマガ
――メディカル翻訳者を目指す方にメッセージをお願いします。
トラマガ

 いきなりメディカル翻訳者を目指すと、翻訳の勉強と、医学の勉強で大変です。ですから、まずは基礎レベルの講座を受講して、実務翻訳について徹底的に学ぶことが大事になると思います。その後で、やはりメディカル翻訳者を目指したいということであれば、メディカル翻訳の講座を短いものでもいいので受講することが近道かと思います。というのも、医療関係の情報は巷にあふれていますが、何を学べばいいか、何を読んで、何を参考にすれば効率的に学習を進められるか、最初はその判断をするのが難しいからです。講座であれば、翻訳の勉強も医学系の知識も効率的に学ぶことができますからね。
 私も、特に通信講座の方には、どういうサイトを見て、どのように学習すればいいか、独学の仕方まで伝えるようにしています。ある程度、勉強の仕方が掴めれば、そこから先は独学で力を伸ばしていくことも可能だと思います。

トラマガ
――最後に、西村先生の今後の目標を教えてください。
トラマガ

 医療従事者の英語力向上のために私ができることをやっていきたいという思いがあります。日本人研究者の論文は国際誌に受理されにくいという現状があります。決して研究レベルが低いわけではないのですが、おそらく英語力の問題で、英語論文がうまく書けていないことが一因だと思います。この解決策としては、研究者自身が英語力を高めていくことも大事ですが、英語力があり、さらにデータが読めて、しっかりと論文作成をサポートできるメディカルライターを養成することも一つの方法だと思うのです。それには、翻訳プラスアルファの高いスキルが必要になります。
 私自身がそのレベルを目指すと同時に、そういう人材を養成していきたい、それが私の大きな夢です。高いレベルの医学の知識や語学力がありながら、出産や育児などでキャリアを断念した人が少なからずいると思いますので、そういう方々を発掘し、セカンドチャンスとして能力を発揮できる場を作っていければ素晴らしいです。5年10年かかるかもしれませんが、少しずつ実現できればと思っています。

トラマガ
保健師や翻訳者という職業ではなく、自分の持っているスキル、積み上げてきたキャリアを最大限に生かして、自分にできることは何か考えながら進む。そんな西村さんのスタンスがお話を伺ううちにより明確になってきて、これこそがフリーランスの立場を最も生かした働き方ではないかと感じました。キャリアを断念した方のセカンドチャンスの場も、ぜひ実現させてください!
トラマガ
PICK UP

フェローでの学び方 翻訳入門<ステップ18> オンライン講座

PAGE TOP