ドキュメンタリーはリサーチ力と表現力の向上に最適!

11月に開講するマスターコースの新講座「ドキュメンタリー字幕」を担当される北村広子先生に、翻訳家になるまでの経緯や、どんな作品を手掛けられているのかなど、お話を伺いました。

  • 翻訳者を目指そうと思ったきっかけを教えてください。

    北村先生

     昔から戸田奈津子さんに憧れていましたが、長い長い下積み時代を経て字幕翻訳者になられたことを知っていたので、凡人が目指せる職業だとは思っていませんでした。周辺業務でもいいから映像翻訳に携わりたいと思いフェローに通い始めたのですが、ゼミのクラスメイトの中にはすでに翻訳の仕事をしている方たちがいて、「頑張れば私もなれるかも!?」と思ったときに字幕翻訳を仕事にしたいと強く思ったのがきっかけです。

    河北村広子先生
  • フェローの授業で印象に残っていることはありますか?

    北村先生

     フェローに通うのはとにかく楽しかったです。自分の原稿がどのような評価を受けるのかというのはもちろん、クラスメイトたちがどんな原稿を作ってくるのか毎回楽しみにしていました。同じ原文でも、自分では使わないような表現や、言い回しがたくさん出てきて「そういう訳し方もあるのか」と参考になりましたね。訳す人によって字幕が変わることを目の当たりにして、柔軟性が身につきました。おかげで仕事でもクライアントからのフィードバックにも素直な気持ちで臨機応変に対応できていると思います。今回の講座でも受講生のみなさんの訳文をピックアップして紹介したいと思っています。

  • 最初の仕事はどのように獲得して、その後どのように増えていきましたか?また、どんなジャンルの作品を手がけられていらっしゃるのでしょうか。

    北村先生

     2006年にアルク主催の「オンライン映画字幕翻訳コンテスト」で最優秀賞をいただき、賞品として映画祭の字幕翻訳の仕事を獲得しました。その際、コンテストの審査を担当していた翻訳学校にそのまま翻訳者としても登録してもらえたのですが、その後はまったく連絡がなかったため(涙)、アメリアに出ている求人に手当たりしだい応募し、何社もトライアルを受けた結果、少しずつ仕事が増えていきました。
    仕事を始めて最初の数年はホラーが多かったですね。素材を初めて見るときは毎回ビクビクしていました。その後 アクションものとドキュメンタリーが増え、最近は本当に様々なジャンルの作品を担当させていただいています。

  • 翻訳を手掛けられた作品の中で、印象に残っているものがありましたら、教えてください。

    北村先生

     割と最近の話なのですが、1930年代の“不朽の名作”と呼ばれる作品に字幕をつける機会がありました。過去に何人かの翻訳者さんが字幕を担当されている作品なので、プレッシャーはありましたが、時代を超えた名作に携われて幸せでした。きっと忘れられない作品になると思います。

  • 北村先生は子育て中とのことですが、翻訳業とご家庭の両立で工夫されていることや良かったことはありますか?

    北村先生

     最近は息子たちが急に体調を崩すことは減りましたが、もう少し小さかったころは予測不能な毎日に振り回されっぱなしでした。精神的に鍛えられて強くなりましたが、やはり不可抗力の事態は起きるので、なるべくスケジュールを詰め込みすぎないように注意しています。それから栄養が偏ると息子たちの体調が怪しくなるので、バランスのとれた食事を心がけています。

     良かったのは子供を通じて知り合いが増え、世界が広がったことです。出産前は子供を生んだら世界が狭くなると思っていたので、これは意外でした。それから、基本的に平日はずっと自宅にこもって仕事をしているので、子供たちと過ごす時間や、保育園の送迎時に保育士の先生方やほかの保護者と交わすちょっとした会話がいい息抜きになっています。

  • 今回マスターコースでご担当いただく講座は「ドキュメンタリー字幕」ですが、ドキュメンタリーの特徴、面白さはどういったところでしょうか?

    北村先生

     私は「ドキュメンタリー=堅苦しい、難しい」というイメージを持っていましたが、実際に仕事をしてみると実験ものや旅行もの、サバイバルものなどもあり、内容は驚くほど多岐にわたります。ドキュメンタリー番組の専門チャンネルもあり、新しい番組が次々と制作されているので、需要は常にあると感じています。ただ徹底的なリサーチが必要ですし、音声の空白がほとんどないため翻訳作業は大変ですが、やり終えたときの達成感は大きいです。たくさんの情報を字数制限内に収めなくてはならないので、日本語の表現力と語彙力はかなり鍛えられます。

  • これから翻訳を学ぼうと思っている方、もしくは学習中の方にむけて、メッセージをお願いいたします。

    北村先生

     恐れずに突き進むべし!! 私はトライアルで二度落ちて、三度目の正直で合格した制作会社から10年間継続してお仕事をいただいています。熱意をもって取り組んでいれば、必ず評価してくれる人はいます。苦しいけど楽しい仕事です!

北村広子先生
プロフィール
北村先生

映像翻訳家。劇場公開作品、テレビやDVD、ネット配信作品など様々なジャンルの字幕翻訳を手がける。 主な作品:『セリーナ 炎の女』『パシフィック・ウォー』『ハードコア』『ザ・ビッグハウス』『ヘンゼル&グレーテル』、TVシリーズ『SS-GB ナチスが戦争に勝利した世界』『ケネディ家の人びと』やアニメシリーズ、ディスカバリーチャンネル作品など多数。

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