翻訳入門(1)(オンライン)
あらゆる分野で、翻訳の前提と言えるのが「正しい英文解釈」。その鍵となる英文法を強化しながら、正しい翻訳につながる解釈のコツを学びます。
あらゆる分野で、翻訳の前提と言えるのが「正しい英文解釈」。その鍵となる英文法を強化しながら、正しい翻訳につながる解釈のコツを学びます。
この講座では、“翻訳のための英文法”という観点から構成されたフェロー・アカデミー独自のテキスト『STEP18』を使用。文法を中心とした18の重要項目を学ぶことで、どんな分野の翻訳にも通じる「正しい翻訳につながる解釈のコツ」をおさえます。受講に必要な英語力は、英検2級以上またはTOEIC650点以上を目安としていますが、この基準に達していない場合でも、文法書を併用することで補強でき、学習効果を高めることができます。
文法が苦手な方はもちろん、大意はわかるけど細かなニュアンスまで理解しているか自信がない、という方にもおすすめです。
下記の例文はステップ15で学ぶ「仮定法の目のつけどころ」に掲載されています。
助動詞の過去形wouldに注意して訳してみましょう。
A man of sense would be ashamed of such behavior.
【×誤訳】分別のある人は、そんな行為を恥ずかしく思っただろう。
この英文は、実は仮定法の文章です。If節があれば仮定法とすぐに気づけるのですが、実際の英文にはIf節を伴わない仮定表現がたくさん存在し、とかく誤訳の原因となっています。
ここではIf節がそっくり省略されているわけでもなく、Without television = If there were no television のように、前置詞句をIf節の代わりとしているわけでもありません。
なおかつ助動詞の過去形wouldが使われています。
このような場合、このwouldは仮定法のwouldで、主語がIf節の代わりになっていると考え、残りを帰結文として訳すと正しい解釈に基づいた翻訳になります。
【○翻訳】 分別のある人なら、そんな行為を恥ずかしく思うだろう。
それぞれのテーマを、「予習」「授業」「復習」の3段階で着実に習得することができます。
授業は録画して授業後(翌営業日)に共有します。次回授業前日までご視聴いただけますので、欠席した方は録画を視聴してください。
英日翻訳家。『あなたを愛してから』『夜に生きる』『ジョン・ル・カレ伝』『スパイたちの遺産』『レッド・ドラゴン』(早川書房)、『オリヴァー・ツイスト』(新潮社)、『モーリス』(光文社)、『11月に去りし者』(ハーパーコリンズ・ジャパン)、『最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと』(日本経済新聞出版社)など訳書多数。
「翻訳入門」は、あらゆる翻訳の前提となる「英文を正確に読み取る力」を養うクラス。オリジナルテキスト「STEP18」を用い、英文法の重要事項を確認しながら、正しく読み解きわかりやすく訳すコツを習得するという。
この日のテーマは「接続詞」。文法としてあまり難しいイメージはないが、先生は「接続詞は論旨がどう進んでいるかを読み取る上で重要。何と何をつなぎ、どういう関係になっているのか、それを見極めて訳し分けることが大切です」と説明する。これを聞いただけでも、中学・高校時代の英文法とは視点が違うことがわかる。
続けて、等位接続詞と従属接続詞、接続詞と似た働きをする接続副詞についてざっと解説。その後、テキストをもとに、代表的な接続詞の働きとその訳し方を丹念に確認していく。
等位接続詞のトップバッターはand。もはや準日本語と化した言葉だが、実際の用法はそう単純ではないらしい。
「語と語、句と句、節と節を連結する言葉ですが、意味としては因果関係、動作や状態の連続、逆説を表すことがあります。例えば、He does not know how to drive a car, and he professes himself to be an engineer.という文の場合、andの前後が逆説の関係にあるので、『彼は車の運転を知らないのに~』と訳すと、日本語としてしっくりきます」
同じように、or、but、forについても用法と訳し方を解説していく。「言い換えのorは『または』ではなく『つまり』」「forは主節の後に置かれ、主観的な理由を付加的に表すことが多い」など、重要ポイントが目白押しだ。
「thatが、名詞節を導く従属接続詞なのか関係代名詞なのかを見極めるポイントは、that以下に主語あるいは目的語があるかどうか。なければ関係代名詞です」
「主節にnotやneverなどの否定語がある場合、butで始まる従属節は肯定文であっても否定の意味に解釈します」
こうした説明を聞いていると、曖昧になっていた文法知識がくっきりと修復されていく。もっとも即効性ある誤読(誤訳)の予防策だ。
従位接続詞も含めすべての解説が済むと、仕上げとして練習問題に取り組む。3行ほどの英文が5問。先生は文中の接続詞について、「命令文プラスandの用法が出てくるので、そこに注意して訳してください」などとヒント与えてから、受講生に訳文を発表させる。その後、丁寧に英文を読み解いていくが、着目するのは接続詞だけではない。例えば、my engagement would prevent from spending more than two nights with himという箇所。
「engagementにはいろいろな意味がありますが、ここは『約束』や『用事』。prevent~from -ingは『~が...するのを妨げる』ではなく『~が...できない』とします。そのため、『約束があるので、彼と2晩以上は過ごせない』という訳になります」
全問をチェックした後、先生は訳例と次回までの提出課題を配布しながら、「一度直訳してから表現を工夫すると、原文から離れることなく自然な訳文になりますよ」とアドバイスした。英文和訳から翻訳へと一歩踏み出したばかりの受講生にとって、拠りどころとなる言葉に違いない。
次回のテーマは「比較」。先生に「苦手な人も多いのでは?」と問いかけられ、うなずく受講生もいた。だが今のうちに弱点を潰しておけば、のちのち苦労することもない。文法力は翻訳の土台。受講生たちは足腰の強い翻訳者へ成長していくことだろう。
『通訳者・翻訳者になる本2017』(イカロス出版発行)より転載
(Text 金田修宏 Photo 岩田伸久)
学んだことが仕事に活かせていると実感
会社の仕事で必要に迫られて実務翻訳をすることになったのですが、帰国子女なので、学校で文法をちゃんと学んだことがなく、自己流で翻訳をしていました。しかし、仕事で翻訳をするなら、文法の基礎から勉強が必要だと感じて、フェローの「翻訳入門」を受講しました。
仕事と両立していたため、授業の振替ができたことと、ポイントが絞られたテキストで効率的に勉強できた点がよかったです。入門を終えてみて、仕事で使うテクニカルライティングは、文法の理解度と比例して、完成度が高くなるのを実感しました。今でもテキスト『STEP18』は会社に置いてあり、例文がたくさん載っているので仕事にも役に立てています。
まず、実務翻訳のプロになることが目標ですが、絵本も好きなので、出版翻訳も学びたいと思っています。
<田中 麻衣子さん>
中・高校生まではオランダに在住。帰国後大学では心理学を専攻。化粧品会社の海外事業部を経て、IT関連の研究所に勤務。通勤しながらフェローの単科コースに通学。「翻訳入門」を受講後、「実務基礎」を受講。
お申込み後の受講の取り消しについて
「契約書面」をお受け取り後、8日以内はクーリング・オフが可能です。
クーリング・オフ期間経過後は受講期間終了日前日までに限り、書面の届出をもって、将来に向かって中途解約を行なうことができます。 中途解約が役務提供開始前(開講日前日まで)の場合、受講料の20%(ただし15,000円(法定の金額)を上限とする)の解約手数料をお支払いいただきます。
受講料をお支払い済みの場合は、解約手数料と振込手数料を差し引いた金額を返金いたします。 役務提供後は、すでに経過した授業回数から、法定に基づいた精算方法により算出し、解約手数料と振込手数料を差し引いた金額を返金いたします。
※クレジットカードのボーナス一括払いをご利用になられた場合は、決済完了後のご返金となります。