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法律翻訳(リーガル翻訳)とは?必要なスキルや資格、参入方法を解説!

「法律翻訳の仕事に憧れているが、就くのは難しそう……」
「法律翻訳を目指しているが、必要なスキルや資格が分からない」
「法律翻訳の仕事に就くには法律系の大学に入らないといけないのか分からない」


このような悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。

本記事では ” 法律翻訳(リーガル翻訳)とは何か ” について解説します。法律翻訳の仕事に必要なスキルや資格、参入方法についてまとめました。

本記事を読むことで 法律翻訳の仕事を行うにはどうしたら良いのか が分かります。法律翻訳家を目指している方や、法律分野の翻訳にも興味がある方はぜひお読みください。

法律翻訳(リーガル翻訳)とは?

法律翻訳(リーガル翻訳)とはその名の通り法律に関する翻訳全般を指します。

海外の企業や個人とやり取りを行う場合、取引相手に送る資料を現地の言葉に翻訳しなければなりません。また、海外の方を相手に訴訟を起こす場合も、裁判関連の書類を翻訳しなければなりません。しかし、資料の翻訳には法律の知識に加え、語学力も必要とします。そのため、このような法律翻訳を専門に請け負っている企業や個人事業主は多く存在します。

法律翻訳は誤訳による被害が大きくなることが多いため、高いスキルが求められます。そのため、この仕事に就くには、ある程度学歴や職歴が必要になる場合もあります。

法律職と法律翻訳職の違い

法律職と法律翻訳職は明確に違いがあります。法律職の代表例が弁護士です。弁護士は依頼を受けて、事実の調査および法定的観点からの主張を行う仕事です。対して、法律翻訳職は資料の翻訳を担当するのみで、1から資料を作成することはありません

もっとも、法律翻訳には高度な法律知識が必要なため、弁護士などから法律翻訳職に転職する方もいます。ただ、法律職の経験がなくても、法律翻訳のスキル・知識が十分に備わってさえすれば、法律翻訳職に就くことは可能です。

法律翻訳の対象となる文書

法律翻訳の対象となる文書は主に次の3つです。

① 契約書
② 訴訟文書
③ 政府文書

各文書を翻訳する仕事の詳細について解説していきます。

①契約書

海外の企業や個人と取引を行う際には外国語に翻訳した契約書が必要です。契約書は双方の約束ごとを明確に定め、後日の証拠書類とするための重要なものです。そのため、不備なく翻訳を行う必要があり、法律翻訳の専門家に依頼することが多いです。

また、契約書は取引相手の地域の法律に即して作る必要もあります。契約書の内容に問題があった場合、トラブルに進展する可能性があります。

契約書の例としては次のようなものが挙げられます。

  • 業務委託契約書
  • 共同開発契約書
  • 秘密保持契約書

契約書の翻訳依頼は多くあり、契約書翻訳に特化している会社も存在します。

②訴訟文書

海外の方を相手に訴訟を起こす場合、訴訟文書を翻訳する必要があります。日本語のままでは裁判所で受理されません。たとえ個人間の場合でも翻訳が必要です。

昨今はネットの普及に伴い、海外に向けて手軽に商品・サービスの提供ができるようになり、海外企業とのトラブルも増えています。そのため訴訟文書の翻訳依頼も多くあります。

訴訟文書とは具体的には次のような文書を指します。

  • 訴状
  • 起訴状
  • 陳述書
  • 証拠説明書

これらの文書は規定の書式に沿って作成する必要があります。各国や地域のルールに従う必要があり、やはり専門家でないと翻訳は難しいです。

③政府文書

政府文書とは、各省庁が発表している資料であり、歴史的事実や国及び独立行政法人の活動記録などをまとめたものです。海外企業に提出する書類を作成する際に、政府文書を翻訳して引用しなければいけない場合があります。

政府文書は信頼性の高い文章であり、翻訳の正確性がより求められます。翻訳に分かりにくい箇所などがあると、取引相手とのトラブルに発展する可能性があります。

法律翻訳に必要なスキル

法律翻訳職は非常に幅広いスキルを必要としますが、中でもコアとなるスキルは次の4つです。


① 高度な語学力
② 法律関連の専門知識
③ 情報収集力
④ 各国の文化に関する知識

法律翻訳の仕事を任されるためには、このようなスキルがあることを証明しなくてはいけません。1つ1つの必要なスキルについて詳しく解説していきます。

①高度な語学力

法律翻訳に携わるには、ハイレベルな語学力が必要です。法律関連の文書を正確に読み取り、分かりやすい言葉で翻訳できる能力が必要不可欠です。

また、単に翻訳するだけでなく、より分かりやすい語彙を用いたり、本文に不足している情報を上手く盛り込んだりするスキルも必要です。

また、高度な語学力を保有していることを、英語の資格や国際規格「ISO20771」など、何らかの形で証明することが求められるケースもあります。

②法律関連の専門知識

法律関連の専門知識も高いレベルで求められます。海外の法律職の方が読んでも違和感がない文章を作成するには、法律職と同じくらいの知識が必要になります。

法律関連の知識を1から習得する場合、どうしても時間はかかってしまいます。たとえばアメリカの場合、州ごとに法律が異なるため、各地域の法律の特徴を抑えないといけません。

ただ、Webサイトで海外の法律情報が簡単に手に入れられるため、昔に比べれば学習や調査をしやすい環境が整っています。海外の法律を実際に読むことで、少しずつ専門知識を身につけることができます。

③情報収集力

法律翻訳には情報収集力も求められます。定められた納期に間に合うように、辞典やWebサイトなどを全て活用し、情報を集めなくてはいけません。情報収集が不足していると、法律用語などの使い方に誤りが生じるなど、翻訳文としての質が下がってしまいます。

情報収集を行う際に便利なサイトとして「FindLaw」が挙げられます。「FindLaw」はアメリカの州法律や判決などを調べられる、データベースサイトです。無料でありながら情報量が膨大であり、初学者の勉強の役にも立つので一度覗いてみましょう。

④各国の文化に関する知識

法律関連だけでなく、各国や地域の文化知識も必要です。海外の文化や常識を理解しないと、文章の背景を読み取ることが難しくなります。意味は合っているものの、ニュアンスに誤りがあるということが起こりやすくなるのです。

日本もそうですが、アメリカや中国などは地方ごとに文化が異なります。各地方の文化の違いを抑えておくことが、翻訳の質を高めるうえで大切です。

法律翻訳に参入するには資格が必要?

法律翻訳に参入するには、特に必須という資格はありません。ただ、「ISO20771」という国際規定が存在し、こちらを満たすと転職や案件獲得などで有利になる可能性があります。

「ISO20771」とは、法務関連に特化した国際規格のことです。「ISO20771」によって定められた学歴や職歴の基準を満たすことで、認定を受けることができます。

「ISO20771」の認定を受けることで、資格を取得した場合と同様に、一定水準以上のスキル・知識があることの証明が可能です。「ISO20771」の認定を受けた人材が多く翻訳会社に在籍することで、その会社はクライアントからの信頼性を高めることができます。

この他、法律翻訳に特化した資格というわけではありませんが、「実用英語技能検定」や「JTFほんやく検定」といった資格は知名度も高く、翻訳スキルがあることを証明できるので、翻訳家としてスキルアップしたい方は取得することをおすすめします。

法律翻訳の難しい点

法律翻訳は翻訳全般の中でも難易度が高く、関わるのは容易ではありません。法律翻訳が他分野に比べて難しい理由として、次の3つが挙げられます。

① 誤訳が大きな問題になることがある
② 幅広い法律知識が求められる
③ 英文の法律用語を理解する必要がある

法律翻訳に携わりたい方は、これら3つを考慮したうえで目指す必要があります。1つ1つの難しい理由について詳しく解説していきます。

①誤訳が大きな問題になることがある

法律翻訳は誤訳や分かりにくい表現が、後に大きな問題に繋がることがあります。翻訳された文書を手に取った方が、悪気なく法律違反を犯してしまい、訴訟問題などに発展する可能性もあります。翻訳の正確さがより求められるのが、法律翻訳の特徴です。

逆に、小説やエッセイの翻訳のように、翻訳者のオリジナリティや表現力が求められる場面はありません。翻訳分野にとって必要なスキルは異なるため、自分が何に向いているのか、何をしたいのかを踏まえたうえでキャリアを選択することが大切です。

②幅広い法律知識が求められる

法律翻訳家には幅広い法律知識が求められます。国・地域ごとに異なる法律を抑えなくてはいけません。また、法律は日々改正されるものですので、知識をアップデートする必要もあります。法律翻訳家を目指す場合、勉強時間をどう捻出するかも考えておくべきことです。

③英文の法律用語を理解する必要がある

法律翻訳が難しい理由として、特有の言い回しや法律用語を理解しなくてはいけない点も挙げられます。英語の契約書などでは、他の書類で見られない表現が使われている場合も多くあります。法律関連特有の表現を理解したうえで、翻訳作業に取り掛かる必要があります。

法律翻訳の分野に参入する方法

最後に、法律翻訳の分野に参入する方法についてまとめました。法律翻訳の分野に参入する方法は、大きく分けて次の2つです。


①大学の法学部に入る
②リーガル翻訳に特化した養成学校

法律翻訳家は就くのが難しい仕事ですが、正しい方法で地道に勉強を行っていけば不可能ではありません。本職に憧れを抱いている方はぜひ目指してみてください。

1つ1つの参入方法について詳しく解説していきます。

①大学の法学部に入る

1つ目は大学の法学部に入ることです。翻訳家を目指す場合、外国語系の学部を選ぶ方もいらっしゃるかもしれませんが、法律翻訳分野に特化するために卒業後に法学部に入り直すというパターンです。

複数の学位を取得することは、高いアドバンテージを持てることは確かです。また、法学部を卒業していないと受けられない仕事もあります。

とはいえ、大学に入り直すというのは非常に大変です。金銭面もそうですが、卒業して法律翻訳家になるまで時間もかかってしまいます。金銭面と時間面の両方に余裕があるという方に向けた選択肢です。

②リーガル翻訳に特化した養成学校に通う

2つ目はリーガル翻訳に特化した養成学校に通うことです。

養成学校によっては、リーガル翻訳専門の講座を設けている場合もあり、学びたい分野に絞って学習することが可能です。

養成学校では法律翻訳の仕事を行った経験がある講師から、直々に教えてもらえます。法律翻訳のポイントや、法律翻訳に必要な知識の身につけ方などを具体的に伝授してもらえるため、効率的にステップアップすることが可能です。

更に、作成した翻訳文を講師にチェックしてもらえます。自分の翻訳文の読みにくい点や誤訳などを指摘してもらえるのは貴重な経験です。独学ではこのような経験はできません。

大学に入り直すのは現実的ではないという場合は、養成学校に通う方法をおすすめします。

まとめ

本記事では法律翻訳とは何かについて解説しました。法律翻訳に必要なスキルや資格、目指す方法などがお分かりいただけたかと思います。

法律翻訳を行うには幅広い専門知識が必要となります。日本だけでなく、海外の法律や文化に関する深い知識も要求されます。また、誤訳が許されない分野でもあるため、語学力も相当レベルであることが要求されます。法律翻訳に携わる難易度は決して低くはありません。

しかし、同時にやりがいを強く感じられる仕事でもあります。法律分野に興味があり、コツコツ知識を身につけることができる方なら、法律翻訳家として活躍できる可能性は高くありますので、本記事を参考にぜひ目指してみてください。

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この記事の監修

フェローアカデミー理事長 室田陽子
フェローアカデミー理事長室田 陽子
学習院女子短期大学卒業後、株式会社サンリオに入社。4年間グリーティングカードの企画に携わる。
その後、翻訳者を志し退職、フェローアカデミーの「ベーシック3コース」を修了し、翻訳者として5年間活動した後、翻訳者ネットワーク「アメリア」立ち上げに参画、理事長/代表取締役に就任。

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