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需要が高まるIT関連のマーケティング文書 その翻訳者に求められるスキルとは?
マーケティング文書は、広義では企業の製品やサービスの販促に使われるものを指しますが、具体例としては次のようなものが挙げられ、媒体も紙だけでなく、データファイル、Webサイト、動画と多岐にわたります。
・ホワイトペーパー ・ブログ記事 ・プレゼン資料、動画 ・カタログ
・ニュースリリース ・ケーススタディ(導入事例) など
マーケティング文書の翻訳に関しては、すでに多くのIT翻訳者を抱えている翻訳会社でも新しい翻訳者が求められているケースが多いようで、まだまだ新規参入の余地はあるといえます。ではこういった翻訳にはどんなスキルが求められるのでしょうか? 関連文書の翻訳を多く受注している翻訳会社の方にお話を伺いました。
コンテンツに応じた文体・表現で訳せる方が求められます
――株式会社サクセスグロージャパン 竹内竜太さん
弊社ではIT関連企業からのマーケティング翻訳も受注していますが、中でも近年特に依頼が多いのは、企業の公式Webサイトの多言語化や、製品・ソリューションを紹介するホワイトペーパーなどです。また既存の翻訳があまり良くないため、日本の顧客向けに訴求できるようブラッシュアップしてほしい、という依頼もありました。
マニュアル等の定型的な翻訳では正確さと一貫性が最も重要ですが、マーケティング要素のある翻訳では、原文の文意を踏まえたうえで日本語コンテンツとして適切な内容に書き直すことが必要な場合もあります。翻訳がどうしても直訳調になってしまう方が多いので、コンテンツの用途・目的に応じた文体・表現で訳せる方が活躍いただけると思います。
またさまざまな分野のコンテンツが対象となるので、社会人としての経験は何であっても翻訳に活きるでしょう。
弊社で翻訳のトライアルを審査する際は、正確性、流暢さ、一貫性、用語、スタイル等をチェックしています。トライアルは分量が少ないため、ケアレスミスなどは実案件に比べて厳しく評価される場合があります。
またこれは翻訳会社により異なりますが、弊社では翻訳支援ツール(Trados、memoQ、Phrase、XTM、Smartlingなど)を活用しており、そうしたツールに対応できることも重要です。ただし、組み込まれている翻訳メモリと用語集を参照して編集できる最低限のスキルがあれば大丈夫だと思います。
さらに昨今、AIや機械翻訳の品質が向上し、流暢なアウトプットが得られるようになっている中、翻訳者の方には「原文の内容を理解して」翻訳いただくことが従来にも増して求められています。
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取材協力
- 竹内竜太さん
- 株式会社サクセスグロージャパン オペレーションマネージャー。米国で5年間、電子部品メーカーの技術営業職に従事したのち、フリーランス産業翻訳者(英日IT、機械、全般)となる。現在は管理業務、英日翻訳・校正および一部分野のトライアルテスト採点を担当。
- 株式会社サクセスグロージャパン
- シンガポールと中国、ベトナムを拠点として、アジアを中心にサービスを展開している翻訳・ローカライズ企業SuccessGloの日本オフィス。ローカライゼーションに対する情熱を共有し、世界中のコミュニケーションをより円滑にするために、質の高い言語サービスを提供している。
株式会社サクセスグロージャパンのWebサイトはこちら
いかがでしたか? マーケティング翻訳では通常の実務翻訳のスキルに加え、原文の目的を意識して柔軟な日本語力を駆使することも必要のようですが、人間ならではの表現力を存分に活かせる点は大きなやりがいかもしれませんね。
これからこのジャンルで翻訳の仕事デビューを目指す方も、これまでの経験を活かして新しいジャンルへとキャリアの幅を広げたい方も、ぜひ参考にしてください。