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グローバル化で需要増!
契約書の翻訳

企業と企業との取引や業務提携において欠かせないのが契約書の存在。
もちろんグローバル化にともなう翻訳需要は多く発生していますが、
翻訳の精度が高くないと契約の条件や範囲などに語弊が生じ、
トラブルのもとにもなりかねないという責任重大な仕事でもあります。

在宅で契約書関連の翻訳を手がける竹井ひとみさんに、
「業務委託契約書」「秘密保持契約書」についてのお話をうかがいました。
契約書の中でも翻訳を依頼される頻度の高いこの2文書はセットになっていることが多いそうですが、
それぞれどんな目的で作成され、翻訳の際にはどんなことが大事になってくるのでしょうか?

一体化することもある「業務委託契約書」と「秘密保持契約書」
国際的な規定や基準、社内規程の翻訳に役立つ共通点も

「業務委託契約書」は、その名の通り業務の一部を外部に委託するための契約書です。委託する業務の内容や料金等の条件、成果物の取り扱いなどについて定めています。「秘密保持契約書」NDA(Non-Disclosure Agreement)と略されることが多く、こちらもその名の通り、入手した機密や個人情報を外部に漏らさないことを約束するための契約書です。

 

業務を委託する際には、委託元から委託先へのある程度の情報提供が必要になります。その中には、例えば製品の製造委託ならそれに使用する独自の製造技術、データベースやプログラムの作成委託ならそこに入力する個人情報など、「機密」に当たる情報も含まれることがあります。そのため、別途規定するのではなく業務委託契約書に秘密保持条項を組み込んでいるケースも多く見られます。

 

委託する業務にはかなり専門的なものもあり、業界用語やその業務の基本的な流れをおさえておかないと条文の意味がわからないこともあります。契約書というのはそれに基づいてさまざまな責任が発生するものなので、できる限り調査し、どうしてもわからないものについてはきちんと訳注を付けるといった配慮が必要だと思います。

日本語でも英語でも契約書には定型文がけっこうありますが、どちらかというと英語の方がシンプルで、日本語は普段使わないような用語が多い印象があります。アプリケーションをインストールするときに出てくる同意書などにさらっとでも目を通すようにして独特の表現に慣れておくと、和訳の際に言葉が浮かびやすいかなと思います。

 

契約書の翻訳スキルは国際的な規定や基準、社内規程などの翻訳にも役立つと思います。目的が「何かを定めること」なので重複する表現が多く、形式も似ているので応用しやすいからです。多国籍企業の増加により、各国で順守しなければならない基準や規定の翻訳の需要も増えてきているように感じます。普段あまり目にしない用語も出てくるので迷ってしまいがちですが、きちんと文意を伝えることが一番大切なので、契約書で表現に慣れておくとその意味が掴みやすくなるのも利点かと思います。

自分で分野を限定してしまわず、どんなことにも挑戦する姿勢が大切

短大のゼミでペーパーバックを和訳して楽しかった経験があり、翻訳を仕事にできたらいいなと思って、結婚後にフェロー・アカデミーの通信講座「翻訳入門<ステップ18>」を受けたのが学習の始まりです。それまでに就いた仕事の関係で最終的にはパソコンインストラクターの資格まで取りましたが、翻訳ではITにこだわらずいろいろな分野に挑戦したいと思っていました。仕事として翻訳をするなら間口の広い実務翻訳がいいと思うようになったのは、翻訳者ネットワーク「アメリア」の定例トライアルやトライアスロンでさまざまな分野に応募を続けていた頃です。実際に訳してみると分野との相性が分かりますし、自己評価と実際の評価が違うことも多いので、客観的に自分の向き不向きを見極めるためにもいいチャンスだったなと思います。

 

初仕事は秘密保持契約書で、その後も実務の幅広い分野のお仕事をいただいています。2013年からは英訳も手がけるようになりました。実際に仕事をしてみると、「分野」というものを明確に分けるのはあまり意味がないなと思うことが多いです。契約書でもその会社がITの仕事をしていればIT関係の知識が必要になりますし、プレゼン資料やカタログになると機械や医療などさらにマニアックな知識が必要になることもあります。自分で分野を限定してしまわず、どんなことでもまずは挑戦してみる姿勢が大切だと思っています。

 

在宅で仕事をしようと思うなら、基本的にIT関連のスキルは必須になると思います。原稿はほとんどがWord、Excel、PowerPoint、PDFのいずれかですから、各ソフトの細かい操作の知識も必要になります。また私の場合は、原稿の受領、資料の共有、納品などすべてをインターネット経由で行っています。法務文書に限ったことではありませんが、大量短納期の案件を複数の翻訳者で分担するときにはクラウドに用語集を作成して共有し、訳語の統一を図ることもあります。各ソフトの設定やクラウドの管理、原稿の処理などITの知識は必要不可欠なので、資格を取るまでいかなくても勉強しておいて損はないと思います。

 

我が家は夫も自営業なので、それに関する事務仕事は私が担当しています。経理や確定申告の経験は会計関連の翻訳に役立つことがあります。在宅で仕事をしているとプライベートと仕事の切り分けが難しく、繁忙期には食事時を除いて朝も夜もずっと働く日々が続くこともあります。ただ、やはりきちんとメリハリをつけないと疲れるばかりで効率も上がりません。最近やっとそのあたりの管理ができるようになってきました。自分が処理できる作業量をきちんと把握して調整できるようにならなければいけないと思っています。

 

翻訳スキルを高めるためには、まず「日本語力」をつけることが必要だと私は思っています。適切な和訳文を作るにも、英訳するために原文を正しく読解するにも、日本語力は欠かせないからです。私は日本語教師をしていたことがあるのですが、世界の言語の中でも日本語はかなり難しい部類に入ります。類義語も多く、擬音語や擬態語のバリエーションも豊富なので、ぴったりの英語が必ず存在するとは限りません。逐語訳ではなく、文意をしっかりと捉えてそれがきちんと伝わる訳文を作るには、まず日本語をよく知らなければならないと考えています。そのためには多読が一番だと思うので、さまざまな日本語の文章に触れるよう心がけています。

 

今後の目標としては、まだまだ未熟なので少しずつでも腕をみがき、頼っていただける翻訳家になりたいと思っています。以前は作業のスピードアップを目標にしていましたが、コピーライトなど、少しニュアンスが加えられている文章をきちんと翻訳するスキルを鍛えたいと思っています。

取材協力

竹井ひとみさん

営業事務やパソコンインストラクターなどの職歴を経て、2006年から在宅で翻訳業を開始。これまでに契約書をはじめ、国際基準、ITマニュアル、監査マニュアルなど幅広い翻訳を手がける。

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