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PDF翻訳とは?
代表的なツールや今後の課題について解説!

PDFは多くの企業で使われているファイル形式であり、PDFファイルで提供される翻訳案件も多くあります。PDF翻訳では機械翻訳(自動翻訳)と呼ばれる翻訳ツールが活用されることもあります。翻訳家を目指す方は、PDF翻訳で活用される機械翻訳ツールも知っておくと良いでしょう。

本記事ではPDF翻訳について詳しく解説していきます。PDF翻訳で使われるツールや、今後の翻訳ツールの課題もまとめました。

本記事を読むことでPDF翻訳について知見を深めることができます。PDF翻訳について詳しく知りたい翻訳家の方や翻訳家志望の方はぜひお読みください。

PDF翻訳とは?

PDFはPortable Document Formatの略であり、Adobeが開発したファイル形式です。請求書や契約書などのビジネスで使われる文書や、取り扱い説明書やパンフレットなどはPDFで作成される場合が多いです。そして、PDFに書かれた文書を翻訳する案件も多くあります。

PDFのメリットとして、どのような環境で開いても同じレイアウトで表示される点が挙げられます。ファイルの共有相手の環境を気にする必要がありません。また、パスワードを設定することができ、他の人が変更できないようにすることが可能です。

翻訳家が翻訳ツールについて知っておくべき理由

PDF翻訳について学ぶうえで欠かせないのが機械翻訳ツールです。最近ではPDFファイルをアップロードするだけで、文書を自動的に翻訳してくれるツールが多くあります。

従来の機械翻訳は精度が低かったのですが、近年はAIの進化に伴い翻訳の精度が高まっており、ビジネスでも活用できるレベルに達しています。

それに伴い機械翻訳ツールによる翻訳結果を人間が修正する、という仕事も増えています。
機械翻訳ツールの種類や特性を理解し、機械翻訳が対応できない部分も対応できる翻訳家が求められるでしょう。

代表的なPDF翻訳ツール

PDFに書かれた文章の翻訳ができる代表的な機械翻訳ツールを5つ取り上げます。

  • Google翻訳
  • DeepL
  • Readable
  • Online Doc Translator
  • T-4OO

各機械翻訳ツールの特徴について詳しく解説していきます。

いずれもセキュリティの観点で使用が禁止されるケースがあるため、仕事で使用する場合はクライアントに確認が必要です。

Google翻訳

Google翻訳は有名であり多くの方が一度は使ったことがあるかと思います。

Google翻訳はテキストを貼り付けることで、翻訳文を出力してくれるツールです。また、ファイルをアップロードすることで、ファイルに書かれた文章を翻訳してくれます。PDFやWord、Excelなどに対応しています。

Google翻訳は一昔前は精度があまり高くなく、少なくともビジネスで使えるものではありませんでした。しかし、2016年に従来の統計モデルからニューラルモデルに進化したことで精度が上がっていきました。今では代表的な翻訳ツールとして、学生から社会人まで幅広く利用されています。

ただし、画像データの処理ができない点や、データ量の上限が1MBと少ないのがデメリットです。また、改行が挿入されていることによる誤訳も発生しやすいです。

DeepL

DeepLは最先端のAIが搭載されており、翻訳の精度が非常に高いのが特徴です。ビジネスシーンでもDeepLは多く導入されています。

DeepLの場合、PDFファイルにイラストや画像があったとしても、翻訳後も原文の書式を極力維持してくれます。ただし、無料版は翻訳できる文字数が5000字と制限があります。

DeepLには有料版のDeepL Proも用意されています。DeepL Proは翻訳完了後にすべてのテキストを削除する仕様になっており、セキュリティ性が高いのが特徴です。また、無料版とは異なり5000字を超えても翻訳することができます。

Readable

ReadableはPDFファイルの翻訳に特化したツールです。英語のPDFファイルを日本語に翻訳することができます。無料プランと有料プランの2つが存在します。

PDF翻訳に特化しているだけあり、デザインを崩すことなく翻訳できるのがメリットです。また、システムが最適化されているため翻訳スピードも早く、約30秒で翻訳が完了します。

デメリットは英語以外の翻訳には対応していない点です。また、有料プランでないと翻訳できる回数に制限があります。

Online Doc Translator

Online Doc Translatorは会員登録不要で手軽に文書を翻訳できるツールです。サイトにファイルをアップロードするだけで翻訳を開始してくれます。無料でありながらPDF文書のレイアウトを極力崩さずに素早く翻訳できるのがメリットです。

なお、Doc Translatorでは他社のサービスであるGoogle翻訳を利用しています。そのため、翻訳の精度に関してはGoogle翻訳と変わりません。

T-4OO

T-4OOもPDFファイルを翻訳できるツールです。T-4OOには幅広い分野の文書を大量に学習させたAIが導入されており、翻訳の精度が高くなっています。

T-4OOには無料プランが存在せず、完全有料となっています。ただ、有料サービスだけあって質は高く、多くの企業で導入されています。

また、セキュリティ性が高いのも強みです。T-4OOを運営している会社と秘密保持契約を締結することも可能です。

PDF翻訳ツールの今後の課題について

PDF翻訳ツールの中には非常に精度が高く、使い勝手が良いものも多くありますが、一方でまだまだ課題もあります。PDF翻訳ツールの今後の課題としては次の5つが挙げられます。

  • 専門用語の翻訳が難しい
  • ファイルサイズが大きすぎると読み込めない
  • ファイルが保護されていると自動翻訳ができない
  • レイアウト崩れが発生する場合がある
  • 情報漏えいのリスクがある

1つ1つの課題について詳しく解説していきます。

専門用語の翻訳が難しい

翻訳の精度は年々向上していますが、専門用語の翻訳に関しては不十分なところがあります。研究論文やエビデンス資料などを翻訳する際は注意が必要です。専門性が高い文書については、その分野に精通した翻訳家がしっかり手直しする必要があります。

ファイルサイズが大きすぎると読み込めない

ファイルサイズが大きすぎるとツールによっては読み込めない場合があります。たとえば、Google翻訳は1MB、DeepLの有料版は10MB〜30MBまでのファイルしか一度に読み込めません。これ以上大きいファイルに関しては、分割して読み込ませる必要があります。

画像やイラストが多いとファイルサイズは大きくなります。PDFファイルには画像が含まれていることが多く、容量制限に引っかかりやすいのです。

ファイルが保護されていると自動翻訳ができない

PDFファイルが保護されていると、自動翻訳することができなくなります。

PDFファイルにはパスワードをかけ、他者から変更できないようにすることが可能です。しかし、パスワードがかかったファイルを翻訳ツールに読み込ませることはできないので、一度パスワード設定を解除する必要があります。

パスワード設定を解除できない場合、自分で英文を書き起こす必要がありますが、人力で書き起こすとなるとミスも発生しやすくなります。

レイアウト崩れが発生する場合がある

PDFファイルをツールで翻訳すると、レイアウトが崩れてしまう場合があります。テキストだけの文書なら問題ないのですが、画像などが含まれている場合、画像とテキストが重なってしまったり、画像が削除されてしまったりする可能性があります。

PDFファイルは本来、レイアウト崩れが起きず、どの環境でも同じように開けるのがメリットです。翻訳によってレイアウトが崩れてしまうのはあってはならないことです。

とはいえ、上述したDoc Translatorなど、レイアウト崩れが起きにくいツールもあります。

情報漏えいのリスクがある

他社の翻訳ツールを使ううえで気をつけないといけないのが、情報漏えいです。オンラインの翻訳ツールを使う場合、そのサイトにアップロードした情報は他社のシステムに送られます。他社はその情報にアクセスできてしまう可能性があります。

もちろん、大手の信頼性の高い企業なら、アップロードされた文書を閲覧したり悪用したりする可能性は低いでしょう。とはいえ機密情報を安易にアップロードするのは避けなければなりません。

機密情報が書かれた文書を翻訳する場合は、クライアントの許可を得たうえでセキュリティ性の高い有料のツールを使うことが望ましいです。また、オンラインのツールではなくデスクトップ版のツールなら、他社サイトに情報をアップロードすることがないぶん情報漏えいのリスクは少なくなります。

PDF翻訳ツールの使用を含めたスキルを身につける方法

翻訳家は機械翻訳ツールの知識のみならず、語学力や文章力、リサーチ力など幅広いスキルが求められます。翻訳家を目指したいけど、どうやってスキルを身につければ良いのか分からないという方が多いのではないでしょうか。

翻訳家になるための学習方法としては次の3つが挙げられます。

  • 翻訳学校に通う
  • 通信講座を活用する
  • 資格を通じて学ぶ

1つ1つの学習方法について詳しく解説していきます。

翻訳学校に通う

翻訳学校に通うことで、効率的に翻訳スキルを身につけることができます。翻訳学校では、現役の翻訳者が講師として授業を行ってくれます。翻訳学校で受けられる授業は最近の翻訳業界動向を反映した内容になっています。

また、講師に自分の翻訳をチェックしてもらえるのもメリットです。自分では気が付きにくい誤訳や適さない言い回しを指摘してもらえるので上達が早くなります。

加えて、翻訳学校には一緒に勉強する仲間がいるのも大きなことです。仲間と一緒に成長していけるため、学習のモチベーションを保ちやすいです。

最近はオンラインで参加できる講座が増え、近くに学校がない方でも授業に参加しやすくなっていますので、探してみてはいかがでしょう。

通信講座を活用する

授業の時間があわない方や、学費を支払うのが難しい方もいるかと思います。そのような方は通信講座を活用することをおすすめします。通信講座の方が料金が安いですし、好きなタイミングで勉強できるメリットもあります。

ただし通信講座の場合、自分で学習進捗を管理しなくてはいけません。自己管理ができるという方であれば通信講座はおすすめです。

資格対策を通じて学ぶ

独学で翻訳家を目指すなら、資格対策を通じて学ぶ方法もあります。英語力アップならTOEICや英検、翻訳ならJTFほんやく検定など、語学関連の資格は多くあります。

資格という明確な目標があった方が学習のモチベーションを保ちやすいと言えます。また、資格の出題範囲に沿って学習していった方が、効率的にスキルを伸ばすことができます。

加えて、資格を取得すれば翻訳会社への転職や翻訳案件を獲得する際にアピールできます。自分のスキルを客観的に証明できることは強みとなるでしょう。

まとめ

本記事ではPDF翻訳について解説しました。PDF翻訳に使われる機械翻訳ツールの種類や今後の課題などがお分かりいただけたかと思います。

翻訳家を目指す方は、本記事で紹介したような翻訳ツールの使い方やメリット・デメリット、将来性などについて知っておくと、今後の役に立ちます。また、優秀な翻訳ツールを選定することは、翻訳精度や翻訳スピードに大きく関わってきます。

翻訳家を目指すならフェロー・アカデミーへ!

最速で翻訳を学ぶなら、翻訳学校がおすすめです。

翻訳学校であれば専門知識と業界経験を持った講師による指導を受けることができ、学習中の疑問点をすぐに解決できます。
また最適化されたカリキュラムのため無駄がなく、効率的に学ぶことが可能
です。

「フェロー・アカデミー」ではライフスタイルやレベルに合わせて講座を選ぶことができ、必要な知識やスキルの習得、仕事獲得までサポートが受けられます。

学校パンフレット(電子ブック)をPDFで閲覧できますので、最速で翻訳家を目指す方はぜひお気軽に資料請求ください。

この記事の監修

フェローアカデミー理事長 室田陽子
フェローアカデミー理事長室田 陽子
学習院女子短期大学卒業後、株式会社サンリオに入社。4年間グリーティングカードの企画に携わる。
その後、翻訳者を志し退職、フェローアカデミーの「ベーシック3コース」を修了し、翻訳者として5年間活動した後、翻訳者ネットワーク「アメリア」立ち上げに参画、理事長/代表取締役に就任。

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