松林真美さん
地方の市役所で4年間勤務したのち、上京してカレッジコースに入学。コースの推薦制度を利用して映像制作会社グロービジョンに採用される。現在は主に日本語吹替版制作の進行に関わり、スケジュールの調整、翻訳台本のチェックなど、同期入社の修了生たちと幅広い業務を行っている。
クラスメイトの誰もが翻訳に熱中していた1年間。
企業勤め未経験の自分には就職サポートも安心だった
中学生の頃にハリー・ポッターを読んだのがきっかけで、欧米の児童文学というところから翻訳に興味を持ちました。その後、外国語大学を卒業し、地元の市役所で公務員として4年間働きましたが、翻訳の仕事を目指して通学をしようと決意。カレッジコースを選んだのは、翻訳学校で唯一の全日制カリキュラムだったから、そして自分が本当に興味を持てる分野、得意な分野を見きわめたかったからです。
授業では自分の訳を発表する機会も多かったですし、予習しないと自分の実力アップにもつながらないので課題には懸命に取り組みました。ただ、仕事としてのプレッシャーがないぶん大胆な訳し方にチャレンジして冒険することもできました。またいろいろな科目を通じて、英語力だけでなく、日本語の表現力を豊かにする必要もあることや、リサーチが翻訳の質を左右することもわかりました。とにかくコース受講中は、人生で一番勉強した1年間だったと思います。クラスメイトのみんなと授業後にご飯を食べに行くこともありましたが、そんなときも翻訳の話だけで数時間盛り上がれるくらい誰もが熱中していました。
前期の授業を終えた頃には、映像制作会社に就職して働きたいと思うようになりました。自分は社会人経験こそあったものの転職活動も民間企業への応募も初めてだったので、後期に入って応募書類の書き方から面接対策まで就職準備のアドバイスを受けられたのも大きな安心材料になりました。年末に企業説明会に来られた2社の映像制作会社に応募し、グロービジョンへの就職を決めました。
みんなで作品を作り上げるのが吹替版制作のやりがい。
授業で多くの訳文に触れて意見しあったことが役立っている
入社後、最初の1ヵ月間でだいたいの仕事内容を見学したり、講義を聞いて知識をつけたりしました。その後、徐々に自分の担当作品を持ち、上司や先輩のサポートを受けつつ現場で業務を覚えていきました。現在は日本語吹替版の制作進行業務として、制作スケジュールの管理、翻訳者・声優・スタジオなどの手配、翻訳原稿のチェックなどを行っています。吹替版の制作には本当にたくさんの人が関わっていて、みんなで協力しながら1つの作品を作り上げる点にやりがいを感じます。翻訳チェックには、カレッジコースで講師やクラスメイトの多くの訳文に触れたこと、1つの訳文について意見しあったことで培われた感覚が役立っていると思います。また授業の課題で字幕制作ソフトを使い慣れたことも仕事に直結しました。
当面は今の会社でもっと業界のことを知り、クライアントがどんな翻訳を求めているかを学んでいきたいです。一方で翻訳の勉強は継続し、フリーの翻訳家としてデビューしたいという夢は変わりません。いずれは地方に移っても翻訳の仕事ができるような力や環境を整えたいと思います。
カレッジコースは幅広い分野の翻訳の基礎から応用まで学ぶことができ、進路サポートも手厚いので、翻訳の世界に踏み出す入り口として最高の環境だと思います。私は1年間ここで一生懸命頑張ったことで、これからのキャリアの糧、それに一生付き合える仲間を得ることができました。クラスメイトとの交流は修了後の今でも続いていて、情報交換をしたり、今後の目標を語りあったりしています。