松石奈保子さん
「ベーシック3コース」受講生向けの企業説明会を行った翻訳会社に就職。翻訳や編集など幅広い業務で活躍している。また、就業しながら映像翻訳の学習も続け、中級「ドキュメンタリー」を受講。ドキュメンタリー作品の下訳も経験。
英語は得意なほうで、高校で交換留学に参加し、アメリカの大学に進学しました。卒業後はIT企業でシステムエンジニア(SE)をしていました。結婚を機に、これからもSEを続けるのは難しいと思い、どういう仕事なら家庭と両立できるかと真剣に考え始め、様々な職業を調べて翻訳にたどり着きました。翻訳であれば、留学経験やSEとしての経験を生かして長く続けられるのではないかと考えました。在宅で仕事ができ、バックグラウンドがなくても挑戦できるというのも魅力的でした。
なるべく早く翻訳の仕事に就きたいと考えていたので、3カ月で3分野の翻訳を学べる「ベーシック3コース」は、自分にぴったりだと思いました。「ベーシック3コース」で学んだことで、分野によって翻訳のルールが異なることを実感し、自分の進みたい分野や、得意・不得意がとても明確になりました。
例えば、技術文書や、ビジネス文書など的確な情報を伝えることが重要視される翻訳では、訳者が意味を理解して、誰にでもわかるような日本語にしなければいけません。一方、文学作品では、韻をふむような表現があったり、遠まわしな表現を使って感情を表したりする文章がたくさん出てきます。こういった文章は作者の色であり、訳者が勝手に解釈して、省いたり説明したりしてはいけないのだと教わり、なるほど! と思いました。原文で読みにくい表現が使われていたら、日本語でも読みにくさを残しつつ、ぴったりはまる表現にするという翻訳の仕方もあることを学び、翻訳の奥深さを実感しました。
コースを修了したら、翻訳業界全体を知るために、翻訳会社で働いてみようと考えていたので、「ベーシック3コース」の受講生を対象に行われた企業説明会に参加しました。IT分野でも主にマーケティング翻訳を扱っている企業のお話をうかがい、面白そうだなと思って応募し、無事に採用いただき今に至ります。
現在扱っているものには、IT企業のプレスリリースや技術者のブログ記事、なかにはCMの字幕や吹替もあります。一字一句忠実に訳すのではなく、企業や製品の魅力を日本人に自然な日本語で伝えるために、文章を大胆に編集することもあります。
「実務基礎」の授業で学んだ、英文をきちんと分析、理解し、日本語で簡潔に組み立てる方法は、いまの仕事でとても役に立っています。また一行で重要なメッセージを伝えるようなマーケティング文書では、映像字幕の授業で学んだことが活かせています。
「ベーシック3コース」修了後も、映像翻訳コースの中級クラスで学習を続けています。幸運にも先生からドキュメンタリーの吹替台本の下訳を依頼され、クラスのみんなで分担して初の映像翻訳の仕事に携わることもできました。オンエアが今から楽しみです。
今後も表現力をつけるために定期的にクラスを受講し、はやく翻訳者として独立することが目標です。