大友香奈子さん

出版

出版社でアルバイトをしていた30代に、知人の紹介でリーディングを開始。2003年に『魔法使いになる14の方法』でデビュー。訳書に『ホアズブレスの龍追い人』『本の町の殺人』『情熱のシーラ(上)』(共訳)などがある。

修了生インタビュー

デビューして12年。 翻訳の道に終わりはないと感じます

最初ではなく3番目の仕事がデビュー作に
2003年に『魔法使いになる14の方法』でデビューし、主にミステリーやファンタジーを翻訳しています。きっかけを作ってくれたのは、出版社でアルバイトをしていたときの同僚です。同じように翻訳者を目指していて、東京創元社のリーディングの仕事を紹介してくれました。リーダーとなって1年後、編集者の方が機会を設けてくださったトライアルに合格。諸般の事情で、担当することに決まった本が2冊連続してお蔵入りするという不運に見舞われましたが(笑)、3冊目にしてようやく翻訳することができました。
その後、間を置かずにもう2冊やらせていただきましたが、ここにもちょっとした裏話があります。3番目に訳した『魔法使いになる14の方法』が一番最初に刊行され、一番最初に訳した『ジェニーの肖像』が3番目に発売されたのです。作品によっては「旬」があるため、版元の営業判断で順番を入れ替えたわけですが、そういった業界事情を知ることができていい経験になりました。

子育てをしながら、フェローで再出発
子どもの頃から海外の本に親しみ、また英語も好きだったため、OLをしていた20代後半に翻訳学校に通い始めました。3年ほど通学しましたが、本気で「翻訳家になろう」と決心して大学に入りなおしたのが転機になりました。OLをやめて、大学に通いながら出版社でアルバイトを始め、「翻訳家になるために勉強している」とまわりに言っていたら、仕事を紹介してくれるひとが現れ、道が開けたのです。33歳で結婚し、3冊目を訳している途中でひとり目の子どもを出産して、その後は子育てをしながらリーディングをしていました。子どもが1歳になったころ、焦りが生じ、仕事として翻訳をしたことで自分に足りない部分も見えてきたため、2003年から3年間フェローに通学。フィクションのゼミクラスで研鑽を積みました。
亀井よし子先生には「どんな原文もじっくり読めば、自ずとそれにあった日本語が出てくる」と教わりましたが、この言葉はいまも私の拠り所です。単語の訳し方ひとつとっても、新たに目が開かれるような発見がありましたし、作品の舞台となる国や文化を知ることの大切さも教えていただきました。人生の先輩として、子育てと仕事のバランスについてもいろいろと助言してくださり、心強かったですね。もっと勉強したかったのですが、ふたり目の子どもを妊娠して、ゼミをやめました。

絵本を訳すべく8年ぶりに復学
2014年の4月からは、こだまともこ先生のゼミクラスで児童文芸を学んでいます。家で子どもたちに読み聞かせをしているうち、「私たちが読めるような本も訳して」とせがまれ、背中を押されました。もっとも、私が本を好きになったきっかけが『長くつ下のピッピ』でしたから、「子どもが楽しく読める本を訳したい」という思いは、つねに心のどこかにあった気がします。
授業では、原文を尊重しつつ、子どもが理解できるよう、噛み砕いたり長い文章を短く区切ったりするコツを学んでいます。大人向けの本の翻訳とは考え方が異なるので、一から翻訳を学び直している感覚です。
未訳作品を教材として取り上げてくださるので、作家や作品を知るうえでもいい勉強になります。先生やクラスメートから海外の児童書の情報を教えてもらえるので、それを頼りに出版社に持ち込めそうな本を探しているところです。

今後も持ち込みを続けていきたい
店頭で自分の訳書を見かけるのは嬉しいもの。評判が良かったりすると、つい心が踊ってしまいます。ただ、デビューから12年経ったいまでも「まだまだ」という感じがするので、つくづく翻訳の道に終わりはないんだと感じます。
ある先生の受け売りですが、フィクションの翻訳を目指すなら、読書はもちろん、映画やお芝居を見ることが大切です。台詞まわしや言葉づかいの勉強になりますし、洋画なら服装や家の中の様子、風景などが視覚的にわかり、背景知識として役立ちます。情報をアップデートするという意味でも、プロになった後も見続けることが大事だと思いますね。
いまは出版業界そのものが厳しく、翻訳者として仕事を続けていくには、自ら紹介していく努力が必要です。私もここ数年は持ち込みをしており、企画が通って「本の町の殺人」シリーズを3作訳すことができました。好きなコージーミステリーをもっと訳したいですし、子どもたちが楽しめる絵本も手がけてみたいので、これからも持ち込みを続けるつもりです。

大友香奈子さんが受講した講座(通学)

上級こだまゼミ

出版翻訳
期間
2019/4/4~2020/2/6(木曜・隔週×18回)
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