出版翻訳について

出版翻訳について

日本で翻訳出版される海外の作品には、大きく分けて
「フィクション」「ノンフィクション」のジャンルがあります。
原書の世界観を著者に代わって日本の読者に届けられるというのが、この分野の最大の魅力です。

出版翻訳者になるには

リーディング(原著を読んでシノプシスを書く仕事)から入り、出版社からその本あるいは同ジャンルの作品の翻訳を依頼される。持ち込み企画を出版社に売り込む、コンテストに応募する、師事する講師から下訳や共訳を頼まれデビューする、といった方法が一般的です。比較的出版点数が多いノンフィクションやロマンスは、新人がデビューのチャンスをつかみやすいジャンルです。 

フェローで学べる出版ジャンル

出版翻訳には、大きく分けてフィクション・ノンフィクション・児童文芸のジャンルがあり、さらに対象読者や内容によってミステリーやロマンス、ビジネス書や自己啓発書、絵本やヤングアダルトなどに分かれます。
フェローの出版翻訳コースもフィクション・ノンフィクション・児童文芸のジャンルに分け、それぞれのジャンルで活躍する翻訳家が、得意とするカラーをテーマにした講座を開講しています。 各ジャンルにはどのような作品があるのかをご紹介しましょう。

◎フィクション

『チャイルド44』

田口俊樹(訳)
トム・ロブ・スミス(著)
本国イギリスで英国推理作家協会賞(CWA賞)を受賞、世界17カ国語で翻訳され、日本では「2009年版 このミステリーがすごい!」海外編で第1位に輝いたハードボイルド・サスペンス。続編の『グラーグ57』も話題になった。

『キャロル』

柿沼瑛子(訳)
パトリシア・ハイスミス(著)
映画『見知らぬ乗客』『太陽がいっぱい』の原作者でもあるハイスミスが、1972年に別名義で出版した幻の恋愛小説。同性愛はタブーとされていた当時において、2人の女性の恋愛模様を描いたこの作品は本国アメリカでベストセラーとなった。

『フロスト気質』

芹澤恵(訳)
R.D. ウィングフィールド(著)
1984年に『クリスマスのフロスト』が出版されて以来、20年以上に渡って世界中で根強い人気を誇る「フロスト警部」シリーズ。著者R・D・ウィングフィールドの他界後、第1冊目として出版された。残りの出版を心待ちにするファンも多い。

『サマータイム・ブルース』

山本やよい(訳)
サラ・パレツキー(著)
私立探偵V.I.ウォーショースキーが活躍する、1982年から続く推理小説シリーズ。ハードボイルドでは少数派だが、主人公のヴィクは容姿端麗な女性。ウィスキーを好み、銃を携帯し、得意技は空手と、ギャップを感じさせる人物像も魅力。

『ミスティック・リバー』

加賀山卓朗(訳)
デニス・ルヘイン(著)
共に少年時代を過ごした3人の男たちの人生が、ある事件がきっかけで再び互いに交差しはじめた25年後を描く物語。同名で映画化され、アカデミー賞やゴールデングローブ賞などで主演男優賞や助演男優賞を受賞し話題作となった。

『アガサ・レーズンと死を呼ぶ泉』

羽田詩津子(訳)
M.C. ビートン(著)
日本では2012年に第1作が出版されて以来、新作が続く「アガサ・レーズン」シリーズ。主人公は、ロンドンのPR業界で活躍するも早期退職して田舎で隠居暮らしを送る“おばさん”探偵。妙に人間味のあるキャラクターがファンの心を掴んでいる。

◎児童文芸

『ダイドーと父ちゃん』

こだまともこ(訳)
ジョーン・エイキン(著)
2010年IBBY(国際児童図書評議会)が選ぶ推薦図書リスト(IBBYオナーリスト)で日本の翻訳作品部門を受賞。 ファンタジーの名手ジョーン・エイキンが40年以上に渡り手がけた「ダイドーの冒険」シリーズ全11巻は、第6巻である本作以降も翻訳出版が決定している。

『星が導く旅のはてに』

冨永星(訳)
スーザン・フレチャー(著)
古代ペルシア、王家の末裔としての誇りを持った14歳の少女は、不思議な能力を持つ幼い弟とともに祭司の隊商に連れられ旅に出る。少女の求めているものは見つかるのか。キリストの生誕伝説に絡めた、ひとりの少女の成長物語。

◎ノンフィクション

『新・100年予測――ヨーロッパ炎上』

夏目大(訳)
ジョージ・フリードマン(著)
「影のCIA」とも呼ばれるアメリカの情報配信会社ストラトフォー設立者でもあるフリードマンによる、大ベストセラー『100年予測』『続・100年予測』に続く作品。 本作では、金融危機や難民問題をはじめ各国間での動揺が続くヨーロッパの今後の展望を予測している。

『リーダーのための行動管理スピード・チェック』

松村哲哉(訳)
スーザン・フレチャー(著)
翻訳書で断トツの出版点数を誇るのが、ビジネス書や自己啓発書。和書・翻訳書あわせたベストセラーランキングで上位に入ることも多い。本作は英国学者アデアによる、マネジメントとリーダーシップをの理論や技法をまとめたハンドブック。

『「無知」の技法 Not Knowing』

上原裕美子(訳)
スティーブン・デスーザ(著)、ダイアナ・レナー(著)
企業コンサルタントとして活躍する2名の著者による、「知らない」=「無知」ということを恐れず受け入れることで、新しい学びと知識を得る方法を提唱した作品。イギリスのマネジメント・ブック・オブ・ザ・イヤーで金賞を受賞。

『絶対帰還。』

河野純治(訳)
クリス・ジョーンズ(著))
2003年、スペースシャトル「コロンビア号」の空中分解事故を受け、シャトルの運用が一時中止された。本作は、そのとき国際宇宙ステーションに置き去り状態になった3人の宇宙飛行士の、宇宙ステーションでの生活を描いたドキュメンタリー。

『サイエンス・インポッシブル-SF世界は実現可能か』

斉藤隆央(訳)
ミチオ カク (原著)
ハーバード大卒の理論物理学者ミチオ・カク氏が「物理法則に反するか否か」という視点から、ワープや念力、タイムトラベルといったSF世界の技術の実現をまじめに検証した科学読み物。安定した人気のあるポピュラー・サイエンスのなかでも、特に読みやすい本として、本国ではベストセラーとなった。

出版翻訳の仕事の流れ/報酬

出版翻訳の仕事の流れ

海外の著作物を日本で出版することを目的に行うのが、出版翻訳の仕事です。仕事の発注元は出版社ですが、編集プロダクションというエージェントが介入する場合もあります。
翻訳者は仕事を受注したら、一冊の本を預かり一定期間で在宅で翻訳します。また、複数で共訳するケースなどもあります。翻訳以外にも、出版社が海外の著作物を日本で出版するかどうか検討するため、原書を読んであらすじや感想をレポートにまとめる「リーディング」という仕事もあり、これも出版翻訳者にとって重要な仕事です。
出版翻訳では、作品のテーマをきちんと把握し、対象読者を意識しながら原作にふさわしい日本語で表現しなければなりません。また、あくまでも最終表現である日本語を評価されますので、文章力を磨かなければなりません。一朝一夕に実力がつけられる分野とはいえませんが、自分の言葉で日本の読者に感動を伝えられる喜びは、出版翻訳ならではのやりがいと言えます。

  • 出版翻訳の報酬

    出版翻訳の報酬は印税もしくは買取となります。印税の場合は書籍の定価×印税率(4~8%)×刷り部数、買取の場合は数十万円~が相場です。またリーディングの相場は1冊につき5,000円~30,000円です。

フェロー・アカデミーの出版翻訳コース

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