出版基礎(1)

さまざまなジャンルの作品を取り上げ、内容を正しく把握しているか、作品としてふさわしい表現になっているかなど、出版翻訳の基本を学びます。

こんな方にお勧めです

  • はじめて出版翻訳を学ぶ方
  • 出版翻訳の基礎を身につけたい方

出版基礎(1)

受講期間
2019/4/16~2019/8/27(火曜・毎週×18回)
受講料
136,000円(税込 146,880円)
時間
19:00~20:40(100分)
定員
10名
修了規定
全授業回数の7割以上出席で修了証書を発行
教材発送
4/6
申込締切
4/5

同講座の他クラスはこちら

初級出版基礎(2)

期間
2019/4/19~2019/8/30(金曜・毎週×18回)
時間
14:00~15:40(100分)
講師
那波 かおり先生
講座詳細はこちら

初級出版基礎(3)

期間
2019/4/20~2019/9/7(土曜・毎週×18回)
時間
13:00~14:40(100分)
講師
三村 美智子先生
講座詳細はこちら

「作品を訳す」という出版翻訳の基本を学ぶ

「出版基礎」では、さまざまな作品を取り上げながら、内容をきちんと把握しているか、作品としてふさわしい表現になっているかといった出版翻訳の基本を学びます。

フィクション、ノンフィクションの両ジャンルに取り組み、幅広い対応力を身につける

例えばフィクションの場合、作品の魅力や面白さが読者にそのまま伝わる翻訳でなければなりません。さらに子ども向けの作品であれば、年齢に応じた言葉えらび、漢字やひらがなの区別など子ども目線でのこまやかな気配りも必要です。一方ノンフィクションの場合は、読者に誤解なく情報を伝えるための、わかりやすい翻訳が求められます。
この講座では、大人向けのフィクション・ノンフィクションと、児童書の翻訳に取り組み、これらのスキルを広く習得することを目指します(課題作品は講師が選ぶためクラスによって異なります)。
さまざまなジャンルの作品に取り組むことで、日本語力も強化できます。

出版翻訳デビューに欠かせない「リーディング」も学ぶ

リーディングとは、翻訳者が出版社から依頼を受けて未訳の原書を読み、あらすじや感想をレジュメ(シノプシス)にまとめる仕事です。出版社はこのレジュメを元に、その原書を日本で出版するか判断します。リーディングをきっかけに翻訳の仕事を頼まれることも多く、翻訳デビューのきっかけになりやすいのが特徴です。この講座では翻訳だけでなくリーディングの方法も学んでいただきます。

欠席した時は講師が訳文を添削します

授業を欠席される場合、授業の開始時間前までにメールで課題の訳文をご提出いただければ、講師が訳文を添削してお返しします。

加賀山 卓朗
Takuro Kagayama

文芸翻訳家。『あなたを愛してから』『ジョン・ル・カレ伝』『スパイたちの遺産』『過ぎ去りし世界』『レッド・ドラゴン』『誰よりも狙われた男』 『繊細な真実』『夜に生きる』『運命の日』(早川書房)、『モーリス』『ミッション・ソング』(光文社)、『荒ぶる血』(文春文庫)、『流刑の街』(ヴィレッジブックス)など訳書多数。

講師からのメッセージ

私の師匠の田口俊樹先生の教えに、「直訳から意訳」ではなく「意訳から直訳」というのがあります。 中学以来の英文翻訳では、まず直訳してから、日本語として読みやすいように整える作業をずっとしてきたのではないでしょうか。しかしそれは、家を建てるときに窓やドアの細かい部分から作りはじめるのと同じです。最終的にきちんとした家になるかどうかは疑わしい。まず土台を作り、柱を立てるのが先でしょう。それが「意訳から」ということです。
土台となる英文解釈をしっかりしたうえで、最初から読める日本語を作ってしまう。そのあとで、原文に近づけられるところは近づける。授業では、比較的読みやすい原文をいくつか取り上げて、この「意訳から直訳」をマスターしていただきます。フィクション、ノンフィクションを問わず、まさに翻訳の基礎となる手法だからです。

状況や文脈にあわせて適切な訳語を考える

「出版基礎」は、フィクション、ノンフィクションの両ジャンルの課題に取り組み、幅広い対応力を身につける講座。今回は、三村美智子先生が担当する「出版基礎」を見学した。

課題は前回から取り組んでいる英国人作家の短編。この日が最後の授業となるため、残り2~3ページ分の訳文をすべて検討するという。少女が語り手の1人称小説であるため英語は概してやさしいが、100分の授業で扱うにはなかなかのボリューム。最終回にふさわしいチャレンジとなりそうだ。

登場人物は少女とその母親、老人の3人。先生は4人の受講生に少女のセリフ、母親のセリフ、老人のセリフ、そして地の文の担当を割り振り、台本の読み合わせのように訳文を読み上げさせる。そしてある程度進んだところで、訳文を吟味していく。

「少女の言葉だから、『ひどくあたる』より『いじわるする』ぐらいでいいんじゃない?」

「このcryは『大声を出す』。『cry=叫ぶ』ではありませんよ」「lovelyは『すてきな』というより『(質が)いい』。英国人に感謝の意味でlovelyと言われたこともあります。翻訳するのが難しい言葉の一つですね。状況に応じて意味を考えてください」

表現の工夫があと一歩足りない、というところか。先生の指導を聞いていると、「学校英語の英文和訳と翻訳は違う」と言われる意味がよくわかる。

と、受講生から翻訳に関するテクニカルな質問が飛び出した。「『と言った(he/she said)』がセリフの最後にくる場合は省いてもよくて、セリフの途中で挿入されている場合は残したほうがいいと聞いたんですが、どうなんでしょうか」

先生は、特別なケースを除きその考え方が基本的に正しいと説明。そのうえでこう補った。「でも最初は省略せずに訳してください。仕上げのときには削っても構いません。土台となる第一稿はとても重要なので、一語一語丁寧に訳すことを心がけましょう」

テクニックも大事だがまずは基本を大切に、という教え。質問者はもちろん、全員がじっくり聞き入っていた。

等位接続詞のトップバッターはand。もはや準日本語と化した言葉だが、実際の用法はそう単純ではないらしい。



作家の表現に寄り添いしっかり訳すことが大事

「いいですよ」「結構だと思います」。褒めるべきときは褒めながら、先生はテンポよく授業を進めていく。「このwatchは『見る』?」と投げかければ、受講生たちから「見つめる」「観察する」と声が上がる。続く「見張る」に「そのとおり!」と先生。「そうか」と言わんばかりのため息があちこちから漏れた。自分にない発想に触れられる点は授業のメリットで、こうした「ライブ感」は学びの楽しさにつながるものだ。

受講生に発言を求めるだけではなく、しっかり解説も行う。

ある受講生が1つの文章の中で否定語を2つ使う「二重否定」をうまく解釈できず、苦笑しながら直訳を読み上げた。すると「おかしいと自覚していることが重要ですよ」と述べて「否定が続くと肯定の意味になります」と説明。さらに3つの例文を板書してその意味を確認していく。

The whisky had disappeared down his throat in one long pour.を「ウィスキーは飲み干されました」と訳した受講生にはこう説いた。

「作家がわざわざこういう表現をしているのだから、意味をまとめずに『たちまちウィスキーはぜんぶぐいぐいと喉に流れ込んでいきました』としっかり訳しましょう」

英国文化に詳しい先生ならではの教えもあった。「Harryはアッパークラスに多い名前」「英米人にとってbow from the waist (腰を曲げてお辞儀する)はとても特別な動作」「英国人は街なかで走らないのでscuttleは『小走りする』ではない」など。〈言葉は文化・習俗・社会〉と切り離せないものであり、翻訳が単なる言葉の置き換えだけでは済まされない、ということを教えられた。

「ジャンルに関係なく『書いてあることを大切にする』という基本は同じ。どのジャンルに進まれても、基本を大切にして頑張ってくださいね」

最後の授業をそう締めくくる三村先生。そのエールを胸に刻み、受講生たちはそれぞれの目標に向かって歩んでいく。



『通訳者・翻訳者になる本2015』(イカロス出版発行)より転載

(Text 金田修宏 Photo 岩田伸久)

受講者の声

胸に刻まれた先生の教え

さまざまな職場を経験しましたが、「私は○○のプロです」と言えない自分に自信を持てずにいました。1つのスキルを極めようと思い、選んだのが翻訳です。私は大の本好き。やるなら一番好きなものをと「出版基礎」を受講しました。
学習を始めるまでは、大筋で意味を伝えることを優先していましたが、本の翻訳でそれをやってしまっては作品を損ねることになってしまいます。「なぜ作者はこの言葉を使ったのか、そこには必ず理由があります」という先生の教えは、仕事を始めた今ではとても大切です。知っているつもりの単語でも辞書を確認し、原文に忠実に翻訳していく技術は、講座で培ったものです。
いつかは訳書を出したいと漠然と考えていたのですが、はじめての訳書は偶然のめぐり合わせから降ってきたように実現しました。ネット上の記事を翻訳して自分のブログに掲載するため、許可を求めて著者に連絡を取ったところ、快諾をいただくと同時に、日本での出版を考えているとのことで編集者を紹介していただいたのがきっかけとなりました。
私は著者と読者の橋渡しをする翻訳という仕事に使命を感じています。これからも「この言葉を多くの方に届けたい!」と感じる本を訳していきたいです。

<渡辺 亜矢さん>
ソフトウェアメーカーや映像関連会社、コンタクトレンズメーカーなどで、翻訳業務を経験。2012年には初の訳書を刊行。訳書には『ジョン・レノンを殺した凶気の調律A=440Hz 人間をコントロールする「国際標準音」に隠された謀略』(徳間書店)、『マスメディア・政府機関が死にもの狂いで隠蔽する秘密の話』(成甲書房)がある。

お申込みの流れ
STEP-1
受講お申込み
ページ下部の「お申込み」ボタンよりお申込みください。
※「お申込み」ボタンが表示されない場合は、申込み期間外となります。
STEP-2
手続書類の発送
お申込み後3営業日以内に「契約書面」と受講料のご案内を郵送します。
STEP-3
受講料のお支払いクレジットカード
「振込(一括)」を選択した方は、8日以内に受講料をお振込みください。
「クレジットカード(VISA/Mastercard® 1回/2回/ボーナス一括)」を選択した方は、お申込み時に入力いただいたカード情報に基づき手続きいたします。
STEP-4
教材発送
記載の教材発送日に、教材、予習指示(予習がある場合)、学生証をお送りします。

お申込み後の受講の取り消しについて

「契約書面」をお受け取り後、8日以内はクーリング・オフが可能です。
クーリング・オフ期間経過後は受講期間終了日前日までに限り、書面の届出をもって、将来に向かって中途解約を行なうことができます。 中途解約が役務提供開始前(開講日前日まで)の場合、受講料の20%(ただし15,000円(法定の金額)を上限とする)の解約手数料をお支払いいただきます。
受講料をお支払い済みの場合は、解約手数料と振込手数料を差し引いた金額を返金いたします。 役務提供後は、すでに経過した授業回数から、法定に基づいた精算方法により算出し、解約手数料と振込手数料を差し引いた金額を返金いたします。
※クレジットカードのボーナス一括払いをご利用になられた場合は、決済完了後のご返金となります。