実務翻訳(産業翻訳)について

翻訳需要の大半を占める実務翻訳。企業や団体、政府機関で需要があり、契約書や報告書のような社内文書から広告やニュースといった一般の目に触れるものまで、さまざまな内容が翻訳の対象になります。

実務翻訳(産業翻訳)とは

翻訳は「実務翻訳」「出版翻訳」「映像翻訳」の大きく3種類に分けられ、その中でも実務翻訳は市場の約9割を占めていると言われます。実務翻訳(産業翻訳)は、主に企業や官公庁などで発生する「ビジネスにかかわる翻訳」を意味します。 IT、医薬、金融、財務、法律、特許など幅広い業界で必要とされ、多くの企業がグローバルに展開されている以上、実務翻訳の仕事がなくなることはありません。

実務翻訳者になるには

翻訳会社のトライアル(翻訳の実力をはかるテスト)を受けて合格し、フリーランス翻訳者として仕事を受注するのが一般的。企業に就職して社内翻訳者やチェッカー等として経験を積んだあとに翻訳者として独立する方もいます。

実務翻訳のジャンルと文書

実務翻訳の仕事が発生する業界は多岐にわたり、日本が海外に向けて製品やサービスや情報を発信したり、逆に海外から取り入れたりする際に必ず翻訳が必要になります。なかでもIT、マーケティング、メディカル、金融、法務は翻訳市場で大きな割合を占めており常に需要があるため、フェロー・アカデミーではこのジャンルを軸に講座を展開しています。 また、実務翻訳には大きく分けて「さまざまな業界で発生する翻訳」「特定の業界で発生する翻訳」があります。具体的には以下のとおりです。

🎯さまざまな業界で発生する翻訳とそのポイント

■マーケティング関連

――企業のWebサイト、プレスリリース、SNS、プレゼンテーション資料、製品紹介、宣伝資料、PR動画など
 ターゲット層に製品やサービスの魅力を伝えるため、消費者心理や現地文化の理解が必要
 グローバル化により、英日、日英どちらのニーズもある
 原文のメッセージ性を損なわないように表現する「トランスクリエーション」の要素もある


■法務・特許関連

――業務委託・秘密保持・雇用・ライセンス等の契約書、社内規定、コンプライアンス資料、会社定款、特許申請関連書類など
 法律の知識を習得すれば、このジャンルだけのエキスパートとして活躍できる
 グローバル化により、英日・日英どちらのニーズもある
 定型文が多いため、一度「型」を覚えればさまざまな文書に対応できるケースが多い

🎯特定の業界で発生する翻訳とそのポイント

■メディカル関連

――治験、副作用報告等の新薬に関わる文書、医薬品の添付文書、医療機器の取扱説明書、医学論文、専門サイトの記事など
 治験関連文書は特に翻訳需要が高く、決まったスタイルがあるため、新人も受注しやすい
 新薬は海外でも日本でも開発されるため、英日・日英どちらのニーズもある
 専門性が高いため、リサーチや知識習得およびアップデートが重要


■IRや経済・金融関連

――市場分析や投資関連のレポート、決算書類、アニュアルレポート、金融商品説明書、市場調査書・約款・パンフレット等保険会社で発生する書類など
 市場が常に動くため、短納期の案件がある、特定の時期に仕事が増えるなどの傾向がある
 上場企業では、特定の開示文書の和文作成や和英同時開示が必要なため、IR関連の日英の需要が急増中
 経済動向を追い、最新の情報を把握しておくことで多彩な案件に対応しやすくなる

実務翻訳の仕事の流れ / 報酬

実務翻訳の仕事の流れ

実務翻訳の報酬

文字数に応じた出来高制で、原文または訳文の文字数で算出されます。報酬には幅があり、翻訳する内容や翻訳者の実力、キャリアによって変わってきます。

報酬(英→日翻訳の場合)

原文計算:1ワード7~15円程度
訳文計算:訳文400字で1,000~3,500円程度

報酬(日→英翻訳の場合)

原文計算:1文字4~10円程度
訳文計算:訳文200ワードで1,500円~4,000円程度