加藤恭久さん
2012年、武蔵野美術大学造形学部映像学科卒業。フリーランスとしてさまざまな映像制作の現場で働く。2017年にフェロー・アカデミーに入学し、「翻訳入門」「出版基礎」「フィクション」「芹澤ゼミ」「芹澤特別ゼミ」を受講。
2012年、武蔵野美術大学造形学部映像学科卒業。フリーランスとしてさまざまな映像制作の現場で働く。2017年にフェロー・アカデミーに入学し、「翻訳入門」「出版基礎」「フィクション」「芹澤ゼミ」「芹澤特別ゼミ」を受講。
幼い頃から本好きだった加藤恭久さんは、高校生になると海外文学の虜になった。村上春樹氏と柴田元幸氏の訳書を好み、翻訳家は憧れの仕事に。そのときは「高嶺の花」で片付けてしまったものの、30代になり、美大を卒業して就いた映像関係の仕事に行き詰まりを感じる中、思いが再燃した。
「本当にやりたいことをやろうと、フェローへの入学を決めました。フェロー出身の文芸翻訳家の方は多いですし、著名な翻訳家の先生方に直接教えてもらえるのは、やはり大きな魅力です」
「翻訳入門」で英語を勉強し直すと、デニス・ルヘインら人気作家を手がける加賀山卓朗先生の「出版基礎」へ。現代小説、ミステリー、SF、児童文学、ノンフィクションなどを課題に、さまざまな出版ジャンルの訳し方を学んだ。児童文学が課題だった際、丁寧でやさしい表現を使うことばかり考えたが、「子どもは大人が思っているほど子どもではない」という加賀山先生の言葉に、ハッとさせられたという。
「思い込みや独りよがりに陥ってはいけないという教えです。原文を尊重しつつ、常に読者の存在を念頭において訳す姿勢が身についたと思います。また描出話法をはじめ、重要な文法についても詳しく説明してくださり、とても勉強になりました」
先生やクラスメートの解釈を聞くのが楽しみ
中級「フィクション」でも加賀山先生のクラスを受け、リズムの大切さなど、より踏み込んだ指導を受けた。そのかたわら、学校が実施する「受講生×出版社紹介サポート」に応募したところ、みごと優秀者に選出。出版社に紹介され、未訳の原書を読んであらすじや所感をまとめるリーディングの仕事につながった。「翻訳家への一歩を踏み出せて、とてもうれしかったです」。
現在はリーディングをしながら、芹澤恵先生が担当するゼミクラスに在籍している。コロナ禍の影響でオンライン授業に替わったが、「先生やクラスメートの解釈を聞けるのが楽しい」と加藤さん。翻訳への情熱は、少しも冷めていない。
「好きな作家の作品を訳し、海外小説の魅力を若い世代に伝えられたらいいですね。そのためにも、未訳の良書を発掘し、精力的に出版社に持ち込もうと考えています」
『通訳・翻訳ジャーナル2021年春号』(イカロス出版発行)より転載
(Text 金田修宏)
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